甲子園交流試合 創成館高 特別な舞台に感謝、次の挑戦へ気持ち新た

タオルを掲げて応援する創成館高の保護者ら=兵庫県西宮市、甲子園球場

 「一生記憶に残る」「自分たちもあの場所へ」-。長崎県内最多の部員121人の創成館高(諫早市貝津町)が挑んだ11日の甲子園高校野球交流試合。貴重な1勝をつかんだ20人の登録選手をはじめ、ベンチに入れなかった3年生、保護者、長崎から声援を送った後輩たちそれぞれが、特別な舞台に感謝して、次の挑戦への気持ちを新たにした。
 例年と違って一般客はおらず、鳴り物もない中、スタンドの父母らは拍手などで選手たちを後押し。主将の上原祐士の父で保護者会長の元治さんは「いつも通り応援できないもどかしさはあったけれど、よくここまで来られた。最高の親孝行でいいプレゼントをもらった」と喜びを表現した。
 奥田修史校長は昨秋と今夏の県大会で優勝した県立大崎高の校名が記されたワッペンを胸に付けて現地入り。「県のチャンピオンはあの子たち。思いだけでも連れて行きたかった」とライバル校へ敬意を表しながら、スタンドから選手たちを見守った。試合は互いの持ち味を出した好ゲームとなり「球児だけでなく、全国のスポーツ、文化部で悔しさを味わった子たちに、希望を持ち続けようと広く伝わることにつながれば」と期待した。
 7月の県大会初戦で先発した井手上冬馬は、雲仙市立小浜中から一般受験で入学。3年生43人のうち2人しかいない“自宅通学組”ながら、稙田龍生監督が「すごい」と認める努力を重ねて、今回は補助員として甲子園の土を踏んだ。「頑張っている姿を見られるから苦じゃないよ」と毎日の送り迎えなどで支えてくれた両親への感謝と「一生記憶に残る1年」の思い出を胸に、大学で競技を続ける。
 創成館高では1、2年生部員78人がインターネットの映像で観戦。2-0の八回に追加点を挙げると、赤いメガホンを打ち鳴らして盛り上がった。新チームでゲームキャプテンを担う2年生の松永知大は「最後の試合で創成館の守り勝つ野球をやり切る3年生に勇気づけられた。先輩たちの集中力、団結力を見習って、自分たちの代も必ず甲子園に行く」と決意を口にした。

八回の追加点で盛り上がる1、2年生部員=創成館高

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