甲子園交流試合 創成館 特別な「1勝」、守り勝つ野球を体現

【平田―創成館】被安打3で完封リレーした創成館の(左から)白水、坂口、前田=甲子園

 2020年甲子園高校野球交流試合第2日は11日、甲子園球場で3試合が行われ、創成館は21世紀枠で選出された平田(島根)に4-0で快勝した。このほか、広島新庄、明豊(大分)が勝った。
 創成館は三回2死二塁から、田中の中前適時打で先制すると、七回に猿渡の右中間三塁打と長田の中犠飛で追加点。八回は松尾の右前打など4安打を集中して2点を加えた。投げては先発白水ら3人の継投で平田打線を散発3安打に封じた。
 広島新庄は同点の五回に明光の適時二塁打で勝ち越し、天理(奈良)を4-2で下した。明豊は県岐阜商を4-2で下した。若杉が7回1失点と好投した。

◎完封リレー、鉄壁のバック

 待ち焦がれた甲子園のスコアボードに「0」をきれいに並べた。豊富な投手陣に鉄壁のバック。守り勝つ創成館が戻ってきた。稙田監督は「最後が一番いい試合だった」と選手たちをたたえた。
 払拭(ふっしょく)したいイメージがあった。2年前の夏の甲子園。明治神宮準V、選抜8強の実績を引っ提げて臨んだチームは初戦で0-7と完敗した。当時1年生だった現3年生は今年7月の県大会2回戦で1-2で敗退。堅守のお株を奪われた。「もう一回、見せつけよう」。その覚悟を体現した。
 ほぼ完璧だった。二回に先発白水が「最近なかった」四球を三つ与えて満塁になったが「誰よりも粘り強く投げるのがエース」と後続を三ゴロに仕留めた。三塁からの難しいワンバウンド送球は一塁長田が危なげなく捕球。無観客の中で淡々とこなしたこの場面が唯一のピンチであり、試合の流れを左右した。
 六回からは1、2年時に活躍しながらも今季は故障に苦しんできた坂口が無安打投球。九回は変則左腕の前田が締めた。3年生だけでも10人以上いる投手陣の中で指揮官が「必勝リレー」と手応えをつかんでいた3人が見事に期待に応えた。
 バックも冷静だった。13個の飛球で凡退した創成館打線に対して、平田の攻撃は16個のアウトがゴロで飛球は三つだけ。送球を含めて相手よりもミスのリスクが高かったが、無失策を貫いた。
 扇の要である捕手浦邊は「1球の重みをみんな理解しているから」と胸を張り、白水は「後輩にもこのマウンドで投げてほしい。いろんなことが変わる」と実感を込めた。伝統の堅守をつないだ1試合だった。

 


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