OB藪恵壹氏が指摘する「8回ガンケル」の脆弱性 外国人起用問題で機能しない日も

阪神・矢野燿大監督【写真:津高良和】

外国人枠は5人に増加もベンチ入りは4人まで、サンズとボーアは外せず…

■阪神 9-2 DeNA(11日・横浜)

阪神は11日、敵地でのDeNA戦に9-2で勝利した。8回まで2点差の接戦だったが、9回に阪神打線が一挙5点を奪う攻撃で勝利を確実なものとした。連敗を逃れた阪神だが、ブルペン陣の危うさに警鐘を鳴らす人がいる。阪神OBの藪恵壹氏だ。

「3点リードの8回で、勝ちパターンの藤川(球児)投手を使うことができなかった。前日に1点を追う展開で登板させ、1失点してしまったからです」

守護神として開幕を迎えた藤川だが、不調が続いたため、スアレスにその座を譲った。ガンケルとともに7回、8回を任されるようになったが、最近ではガンケルが8回のセットアッパーとして固定されてきた。藪氏は「8回と9回を固定することはいいこと」と評価する。

だが同時に、今年のチーム事情では外国人投手をセットアッパーとクローザーで起用するリスクの高さも指摘する。

「今年は外国人枠が5人ですが、ベンチ入りできるのは4人だけ。現状を見ると、打線ではサンズとボーアの2人は欠かせない。そして先発にはガルシアがいる。ガンケル、スアレスと合わせて、上手く起用していかなければいけません。打者2人は外せないし、守護神は絶対。となれば、ガルシアが先発する日はガンケルがベンチを外れるため、セットアッパーがいなくなってしまいます」

まさに、この日がそのパターンだったわけだが、本来ならガンケルの代わりに藤川を起用すれば済んだはず。だが、前日投げていた影響からか、藤川ではなく馬場皐輔投手がマウンドに上がった。

「本当は前日の1点を追う場面でガンケルに投げさせるべきだった。そうすれば、今日は必然的にベンチ外となるのだから休むことができます。さらに、今日の藤川投手を使うことができたというわけです」

藪氏が勧める「リリーフ投手起用スケジュールの徹底」

本来ならば、勝ちパターンのために毎日ベンチに控えていたいセットアッパーとクローザーだが、いる日といない日があるという“条件付き”では、やはり据わりは悪く見える。

「どうしても起用方法が行き当たりばったりに見えてしまう」という藪氏は、メジャーでの経験を踏まえながら「中継ぎ起用スケジュールの徹底」を勧める。

「僕がメジャーにいた時は、ブルペンに救援投手全員が最近どの試合に何球投げたかを書いた紙が貼られていました。3連投はないとか、1試合で20球を超えたら連投はないとか、チームの起用ルールが決まっていたので、投手も自分が投げるか投げないか分かりやすい。効率的に準備をしやすいので、投手はリズムを作りやすかったです」

NPBでも投手の球数を管理する球団は増えてきているが、藪氏は中継ぎの起用スケジュールを徹底することで「怪我のリスクもかなり減ると思います」と指摘する。

昨季はブルペン陣が圧倒的なパフォーマンスを披露した阪神だが、今季はここまで苦しい戦いが続いている。もう一度、“鉄壁”のブルペンが戻ってくるには、役割の固定とスケジュールの徹底がカギとなりそうだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

© 株式会社Creative2