老化で皮膚幹細胞の糖鎖が変化、筑波大学などが解析

筑波大学の佐田亜衣子助教(現熊本大学特任准教授)、柳沢裕美教授、産業技術総合研究所らの研究グループは、糖鎖プロファイリング技術を用いて、老化皮膚において幹細胞表面の糖鎖構造(糖鎖修飾パターン)が変化することを見出した。

細胞表面に存在する糖鎖は「細胞の顔」とも呼ばれ、細胞の種類や状態によって構造が劇的に変化する。血液型や腫瘍マーカーをはじめ、糖鎖の違いは優れたバイオマーカーとしても幅広く利用されてきた。しかし、細胞の中でも、分化細胞を生み出す組織幹細胞は、成体組織の全細胞の1パーセント以下で微量のサンプルしか得られず、糖鎖解析が困難だった。

研究では、「レクチンアレイ法」という新技術を用いて、若いマウス、歳をとったマウスの皮膚から単離した幹細胞の糖鎖修飾パターンを網羅的に解析。具体的には、糖結合タンパク質であるレクチンをスライドガラス上に固定化し、幹細胞の膜タンパク質と結合させて幹細胞の糖鎖構造を高感度かつ迅速に検出した。

皮膚幹細胞における糖鎖のパターンをプロファイルした結果、加齢に伴い、皮膚幹細胞の糖鎖修飾パターンがダイナミックに変化する「グライコームシフト」が起こることを発見した。グライコームシフト後の老化型糖鎖パターンを持つ皮膚幹細胞では、細胞の増殖が顕著に低下するため、糖鎖の変化は機能的にも重要な変化だ。また、加齢に伴って有意に変化する糖類を認識するレクチンを同定、これらが新たな老化バイオマーカーになり得るとしている。

今回の成果により、糖鎖を標的にした皮膚幹細胞の老化状態の検出や老化の制御へとつながることが期待される。

論文情報:

【Aging Cell】Glycomeprofilingbylectin microarrayrevealsdynamic glycan alterationsduring epidermalstem cellaging

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