総資産5億円を達成、不動産投資を始めたきっかけは「自宅購入」だった

投資の定番手法である「不動産投資」。とはいえ、まとまった頭金や融資が必要なことからスタートするにはハードルが高そう。そこで話を伺ったのが束田光陽さん。26歳で不動産投資を始め、2年で資産5,000万円を達成。現在の総資産は5億円とのこと。ファイナンシャルアカデミー「不動産投資スクール」講師も務める束田さんは、どのように不動産投資をスタートしたのでしょうか。


二世帯住宅の購入

――2003年、26歳で不動産投資を始められたと伺いました。何がきっかけだったのですか。

マイホーム購入です。当時入社3、4年目のサラリーマンで、年収は300〜400万円ほど。そこで、3,000〜4,000万円ほどの物件をローンで購入しようと考えていたところ、ある二世帯住宅を見つけて、不動産投資を考え始めました。

――なぜ二世帯住宅が不動産投資に?

その物件は2LDKとワンルームに分かれており、業者さんは普段2LDKに暮らし、ワンルームは賃貸する形も出来ると話していました。「このエリアなら家賃8万円で貸し出せる」と。実際、私も詳しいエリアだったので、新築でこの場所なら8万円は取れると思いました。そこで初めて不動産投資を考え始めたのです。

――実際、どうしたのですか。

この物件を2860万円で購入したのですが、当時組んだ35年ローンで毎月の返済額は8.6万円。一方、月8万円の家賃収入があれば、ローン返済に良いなと。それでワンルームを月8万円で貸しました。

束田光陽さん

――そこから束田さんの不動産投資がスタートしたのですね。

はい。実は、同じようにマイホーム購入がきっかけで始める人は多いのです。不動産投資というと身構えてしまうものですが、自宅を購入する際、一部を賃貸化してローン返済にあてるのは入りやすい方法かもしれません。二世帯住宅に限らず、別個の物件を2つ買っても良いですし。

――「借り手がつかない」という不安はありませんでしたか?

もちろんありました。ただ、仮に月8万円で入らなくても、7万、6万と値下げすれば、誰か入るという自信もありました。同エリアで月6万円の物件と比べると、明らかに良い条件・立地でしたから。そもそも、自宅として購入したので、誰も借りなくてもマイナスではない。少しでもローンが軽減されればという考えだったのです。

――買った後、どうなりましたか。

借り手が見つかり、月8万円の家賃収入が入ってきました。さらに大きいのは、17年経って物件の価値も大きく上がったことです。2,860万円の購入でしたが、今の相場は4,000~5,000万円ほど。これまでのローンは家賃収入でまかなえて、さらに売却すれば大きな利益が出る。ここで不動産投資の良さを味わいました。

ボロボロの物件、業者にも逃げられ……それでも成功した理由

――次の物件を購入したのはいつ頃ですか?

1年後の2004年です。650万円のワンルームを「ヤフオク!」で見つけました(笑)。ただ、物件を見にいくとボロボロで……。天井は穴が開き、壁紙も剥がれて、漏水したような跡も。水道の配管は来ていましたが、風呂・トイレなども付いていません。

購入時の物件の様子

――すごい物件ですね……。それを買ったんですか?

はい。僕がこの物件に魅力を感じた理由は、東急東横線・反町駅から徒歩5分以内の立地です。学生時代、東横線沿線に住んでいたので、ブランド力はよくわかっていました。

天井には穴が

とはいえ、いくら東横線沿いでも、この物件を650万円で買って、さらに数百万もかけてリフォームするのはあり得ませんでした。そこで、値切りに値切ったのです。

――成功したのですか?

はい。最終的に250万円になりました。というのも、実はこの部屋、売主である不動産会社が同じ建物の5階の部屋とセットで仕入れており、そちらはすでに売却。大きな利益が出ていました。つ まり、5階の部屋が本命物件で、こちらはそこまで重要ではなかった。とにかく売り切りたい様子だったので、250万円でもOKしてくれました。

――それでも、この部屋の状況だと買うのは勇気がいりますが……

わかります(笑)。ただ、250万円なら「失敗しても人生終わらない」と思いました。車一台買って全損したと思えば勝負できます(笑)。これは持論ですが、20代の資金が少ないときに数%の利回りでコツコツ投資してもメリットは出にくい。1億円ほどの資産を運用するならメリットも出ると思うのですが。むしろまだお金のない若いときは、ある程度リスクをかけて勝負しないとリターンも小さい。それで自分のお金をかき集めました。さらに、初めての融資も受けました。かかった費用は、物件購入費250万円とリフォーム代150万円でした。

――リフォーム後は、どんな部屋になったのですか。

写真が残っていますが、だいぶ綺麗になりました。

内装は、風呂やトイレなど、すべて新装。建物は古いものの、中は新築と同じです。ただ、トラブルもありました。実は途中でリフォーム業者が来なくなり……。経営が悪化して、逃げられてしまったんです。

――なんと……。どうしたのですか。

60万円をその業者に前払いしていたので、残りの金額でリフォームを完成させるしかありません。いろいろ考えて、2つの秘策を用意しました。

必死にやった2つの秘策が「不動産投資の必勝法」だった

――秘策、ですか。

はい。1つ目は、リフォームの部材をすべてオークションサイトで調達したこと。オークションサイトには、新品だけど型番が古く、使い道がなくて倉庫に眠っている「デッドストック品」が多数出品されています。これらは未使用ですが格安で買えるのです。

――なるほど。

リフォーム後の
さらにもう1つの秘策は、知り合いの大工に直接発注したこと。部材はこちらで用意するので、作業だけお願いしたいと。この2つの作戦で、無事にリフォームできました。好立地かつ、広さも31平米とワンルームとしては広め。それらから、家賃8.5万円で貸し出すことができました。

――家賃8.5万円。400万円の投資で利回り25%ですね……

手取り計算では20%ほどになりますが十分です。そして、最終的に750万円で物件を売却できました。もちろん、利益が出たのは嬉しかったですが、同時に大きかったのは、先ほど話した2つの秘策が、実は不動産業界では必勝パターンの一つだったことです。僕はコストを下げようと必死にやっていたのですが、実は不動産投資の定番でした。

――どういうことですか。

たとえば1つ目の秘策は「施主支給」といって、不動産投資でよく知られるやり方です。リフォーム会社を通すと仕入れ値や取り付け費が上がってしまうので、オーナーが直接調達してコストを下げる。2つ目の方法も、直依頼することで中間コストを下げる定番手法。ともに、よく知られる「勝利の方程式」だったんですね。そして、このやり方が自分のスタイルとなり、その後の不動産投資に続いていきました。

これ以降の投資エピソードについては、次回伺います。


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