元寇船のいかり引き揚げへ 松浦・鷹島沖 大型木材の保存技術利用

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松浦市が来年度引き揚げる予定の元寇船の木製いかり=同市鷹島沖(市教委提供)

 長崎県松浦市は来年度、同市鷹島沖で2013年に発見された元寇(げんこう)船の木製いかりの引き揚げ事業に着手する。市議会鷹島海底遺跡保存活用特別委員会(宮本啓史委員長)で明らかにした。いかりを引き揚げ保存処理することで研究実績を積み、将来の元寇船の船体引き揚げや国の水中考古学研究施設の誘致につなげたい考えだ。
 鷹島沖の海底からは、これまで2隻の元寇船が見つかっており、周辺の海域は「鷹島神崎(こうざき)遺跡」として水中遺跡では初の国史跡に指定されている。
 引き揚げるいかりは長さ約1.8メートル、幅約25センチで、木材と1個の石を組み合わせた「一石型」と呼ばれるもの。出土地点は史跡の区域外で、11年に見つかった1隻目の元寇船の北西約100メートル、水深約20メートルの海底で見つかった。近くからいかりの重しとみられる石材も発見された。
 市は、鷹島沖の元寇遺跡を研究している琉球大の池田榮史(よしふみ)教授を代表者とするグループとトレハロース(糖)を使った木製の遺物の新しい保存処理技術と装置を開発。大型木材の保存処理期間の大幅な短縮が可能になったことから、いかりの引き揚げに踏み切ることにした。
 いかりは13年の発見、調査後に海底に埋め戻してある。引き揚げにかかる事業費は市の自主財源のほか、国や県の助成金を活用する予定。また、自治体が目的を限定して募集する「ガバメントクラウドファンディング」でも事業への寄付を募り、周辺漁場の環境整備を併せて実施する。寄付者へは松浦の水産物を返礼品として送り、漁業者の所得の向上や市のPRにも役立てる。