コロナ禍で「SNSを最も賑わせた投資銘柄」ランキング 1位は普段日の目を見ないあの銘柄?

©株式会社マネーフォワード

コロナ禍では、オンラインミーティングツールを提供するIT企業等が思わぬ恩恵を受けた反面、旅行業界や航空業界が大きな打撃を受けるなど、セクターによって明暗が別れる展開となりました。

各国の金融緩和の甲斐もあって、日経平均株価はコロナ禍前とほぼ同水準の22,000円代まで戻しています。しかし、新型コロナウイルスの第二波が再び日本経済に悪影響をもたらす懸念もあり、油断できない状況が継続しているといえるでしょう。

業績見通しを非開示とする企業も出現するほど不確実性の高い相場環境では、第三者の投資家目線も投資判断のひと要素として取り入れる余地があるでしょう。


製薬ベンチャーや指数連動銘柄が人気化

今回コメントを集計したSNSは、スマートプラスの株取引アプリ「STREAM」です。同社のコミュニティは証券口座を開設した本人確認済みの顧客しかコメントできません。そのため、荒らしや違法な煽りコメントがほとんど存在せず、他のSNSと比較して投稿の信頼性が高いことから集計対象としました。集計期間は2020年4月1日から同年7月31日までです。

それでは、コロナ禍で最もコメントが投稿された銘柄第10位から第6位までを確認してみましょう。

実は、コロナ以前でも投資家の注目度が高かった銘柄はソフトバンクグループのみで、その他の銘柄はコロナ禍をきっかけに入れ替わっています。特にVIX短期先物指数や、いわゆる「日経レバ」といった株価の急変に敏感な指数連動型ETFが注目されています。空港の運営や旅館などの商業用物件で打撃を被ったオリックスや、コロナの治療薬として期待されるアビガンの治験で注目を集めた富士フィルムもランクインしました。

小型・中堅製薬銘柄に投稿が集中

第5位:テラ(コメント数:555件)

鳩山由紀夫元首相が、オバマ米前大統領と共同で発起した「国際新型コロナ細胞治療研究会」の発足ツイートで言及されたテラが5位にランクインしました。コロナウィルスの治療薬を開発するというテーマで投資家の話題を誘い、3月23日の安値100円から、6月には約18倍の1,828円の最高値をつけました。

その後、週刊誌によってコロナ治療薬開発が実施されていないという疑惑が持ちかけられたり、金融庁により課徴金の納付命令を受けたりしたことも投資家間での議論に発展し、コメント数が伸びたようです。

【代表的なコメント】

・PTSで反発してたので、明日は反発は少しあるかもしれません。だけど金融庁の課徴金の悪材料を払拭できる好材料が出てこないと少しずつ株下がるでしょうね。(ポリフォニカさん)

第4位:アンジェス(コメント数:875件)

コロナ禍中でいち早くワクチンの開発着手がワイドショーなどで取り上げられたのがアンジェスでした。同社は、吉村洋文大阪府知事の「大阪でワクチンを実現させたい」という構想の肝となる企業として、国や大阪府とともに、ワクチンの開発で連携しています。現に、同社はコロナウィするワクチン実生産体制の早期構築を図る事業の助成金93億8000万円が交付されることになっており、財務体質の改善を見越した買いが入っているようです。

同社はかねてより増資による資金調達を行っていたことから、一部の批判的な投資家からは「株券印刷業」などと揶揄されることもありました。今回で目覚ましい実績が出るかに注目が集まっているようです。

【代表的なコメント】

・ 以前アンジェスで2回程損したので3回目もまた同じ目に合うかもしれない恐怖心で買うのを控えていましたがまさかこんなに暴騰するとは。やはり買っておけば良かったと後悔する自分(T_T)(ココちゃまさん)

・アンジェスの黒歴史は、株価が上がると公募増資してくるので気をつけて(ヒデゾーさん)

第3位:NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(コメント数:1,003件)

この商品は日経平均が1%下がれば2%値上がりするという、特殊な銘柄です。今年2月から3月中旬までの暴落相場の値上がりランキングで一際目立ったのがこの銘柄です。この銘柄は、長期では価格が下落する「減価」という仕組みが存在しているため、長期投資には向かないという点に留意するよう促す投稿がみられました。

【代表的なコメント】

・普通の株は感覚大きく開ければナンピン効果高いけど、これはデイトレ専用と思った方がいいと思います。(一部抜粋 アリスさん)

“マイナス価格” 原油がワンツーフィニッシュ

第2位:WTI原油価格連動型上場投信(コメント数:1,605件)

第1位:NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(コメント数:1,639件)

TOP2はいずれも普段はお目にかかることのない原油価格に連動する上場投資信託となりました。その理由としては、なんといっても「原油先物価格のマイナス化」でしょう。コロナ禍による原油需要の急減と、アメリカ内陸部での受け渡しというコストのかかる決済方式によって、WTI原油先物は「お金を払うから原油を引き取って欲しい」といった前代未聞の事態に見舞われました。

これによりWTI先物価格が史上初めてマイナス40ドル程度まで落ち込み、先物の購入者は投資金額を全額失っただけでなく、1単位あたり40ドルを追加で支払うことになってしまったのです。しかし、これは先物の話であり現物取引でマイナスまで落ち込んだわけではありません。それでも年初には400円程度で推移していた原油インデックス連動型上場投信は現在111円で推移しており(執筆時点)、大きな損失を抱えてしまった投資家もいるようです。

両銘柄に関しては、先物価格マイナスに関する議論が活発に行われていました。

【代表的なコメント】

(原油を長く持たない方がいい理由は何ですか?という質問に対して)先物は1ヶ月ごとに、現物と交換するので期限があります。理由は、原油の場合は保管コストがかかるからと思えばよいです。減価(コンタンゴ)の仕組みは、先物の枚数が大きく減る→連動しなくなる→原油価格が上がってもちゃんと値上がりしない となってしまいます。(一部抜粋 裏3さん)

情報の正確性を確認して投資判断に活用しよう

書き込みだけを根拠に投資判断を行ったり、情報が正確かどうかを検証せずに拡散したりすることでトラブルになるリスクもあるSNSですが、うまく使いこなせば味方にもなるはずです。

足元ではコロナ禍の第二波が懸念されており、相場環境の不確実性が高まっています。その中で、第三者の投資家目線は投資の手がかりとなりえるでしょう。

<文:Finatextグループ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 古田拓也>