池田エライザ×田口トモロヲ◆インタビュー 「名建築で昼食を」極上の空間で食事を共にする2人のほっこりトーク

人気作家・甲斐みのりの「歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ」(エクスナレッジ)を原案に、主人公2人が都会にひっそりとたたずむ、おいしいランチが堪能できる名建築の数々を巡るドキュメンタリー要素もある新感覚のドラマ「名建築で昼食を」(テレビ大阪・BSテレ東)。同作でカフェ開業を夢見る会社員・春野藤を演じる池田エライザと、「乙女建築」巡りを趣味とする中年の建築模型士・植草千明に扮する田口トモロヲに、その魅力を直撃取材! 現場でスタッフから2ショットで置いていかれてしまったという驚きのエピソードも飛び出し…!?

■気付くとスタッフが消えてた!? 現場の空気感が作り出す独特の映像美

── ノスタルジックでかわいらしい「乙女建築」にフォーカスし、そんな名建築のなかで食べられる絶品ランチも紹介される「名建築で昼食を」ですが、出演オファーが来た時はどんな感想を持たれましたか?

池田 「建築家の人生や生い立ちもそうですが、作り手の意思みたいなものって、種明かしされることがなかなかないじゃないですか。“あ、その視点、私にはまだまだ足りてなかったな”と思い、この作品をきっかけにその視点を持ちたいと、出演を決めました」

田口 「池田さんは最近、(作り手として)映画監督もされていましたもんね(2020年公開予定『夏、至るころ』)。…僕はお話をいただいた時、ある意味“萌え~!”ってなりました(笑)。“建築”と“人”と“食”── ドラマ映像ならではの、見て、感じて、五感を刺激する作品になりそうで、とても面白い、ほっこりした企画だなと」

── すてきなランチがたくさん登場しますね。

池田 「劇中で登場するランチも本当においしいですよ。撮影をしながら“おいしかったな、幸せだったな”と感じた後で昼休憩に入ることが多いじゃないですか。撮影でもお昼ごはんも食べてるから、着実に体重が増えちゃう(笑)。どうしてくれるんだ、監督!…という感じです(笑)」

田口 「第2話のランチシーンでは、撮影で食べきれなかったランチを“昼休憩の間に食べていいですよ”と言われたので食べていたら、いつの間にかスタッフの姿が全員消えてて…」

池田 「“こんな広いスペースに私たちだけ置いていくかい?”って(笑)」

田口 「2人で『おいしいね』って話をしていて気付くと誰もいない。撮影で女優さんと2ショットで残されたのは初めての経験ですよ。何、あの“ドッキリ感”みたいなの(笑)」

池田 「私たちが撮影でおいしそうに食べていたから、スタッフさんもおなかがすいて仕方なかったんでしょうね。私たちはパスタを食べていたんですけど、スタッフさんたちは別部屋でジャンバラヤに飛びついていました(笑)」

──(笑)。ところで、アドリブを多用した現場だと聞いています。

池田 「私が演じる藤はその建築に触れるのが初めてなので、監督から、そのままのリアクションが欲しいと言われました。監督が大事にしているポイントでもあったので、本当に観光に来ているような、そんな気分で本当に楽しんでアドリブで演じています」

田口 「自由に感じたまま。本当に池田さんの好奇心のままに」

池田 「あ、でも多少は映像のことも考えましたよ。“この建築の、この部分は、みんなにも見てほしいな”と思ったら、そっちへ行ってみようかなとか。そういう意味で、割と視聴者目線で現場に立っています」

■趣味と仕事、その狭間から生み出される“いい温度の温泉”のようなドラマ

── お二人は、本格的な共演はこれが初めてだとか。お互いに気になっていることや聞いてみたいことはありますか?

池田 「聞いてみたいこと…。(熟考の後)あの、私、現場でうるさくないですか?」

田口 「(笑)。全然! うるさくないですよ。そんなことより、この現場は女性スタッフも多いので、おじさんとして自分の臭いが気になったりするんです。大丈夫? 俺は臭ってない?(笑)」

池田 「(笑)。大丈夫です。あと田口さんって、すごく多才でいろんな面を持ってらっしゃる印象があるのですが、趣味人なのかと思いきや、意外とそうでもないのかなという雰囲気もあるんですよね。ご自身で、どちらだと思いますか?」

田口 「趣味人といえば趣味人だし、そうでもないといえばそうでもない。でも、誰もがどっちの面も持っているんじゃないですか。この仕事も趣味だといえば趣味。好きなことを仕事にしているわけですから。そんなことないですか?」

池田 「そうですね…。確かに趣味ともいえると思います。でも、逆に仕事だと思っているから飽きないんじゃないかって思うんです」

田口 「なるほど、それは深いですね。いや、この年になっても年下の“乙女”に教えられることは多いです(笑)。女性の大活躍が見られる昨今、池田さんはそのトップランナーだと思うんですね。監督して映画も撮影されて、そこで得た視点の変化はきっと今後のお芝居にも生きてくると思うんです。この現場でも、そんな変化の片鱗が見られたらおじさんはラッキーですよね(笑)」

池田 「ありがとうございます。こんなにしっかり私のこと話してくれるんだったら、私ももっと田口さんのことしっかり話しておけばよかった(笑)。じゃ、じゃ、聞きたいんですけど、田口さんの最近の趣味って何ですか?」

田口 「そうですね、最近といえば、ステイホーム」

池田 「何をして過ごされたんですか?」

田口 「見たことがない映画を見たりとか…。あとは自分フェスですよね。自分の好きな映画だけを見続けるフェス」

池田 「へえ! 楽しそう♪」

田口 「もう最高ですよね。こんなフェスがいつまでも続けばいいなと思っていたら、本作の撮影がスタートして。今はお仕事フェスになっちゃいました(笑)」

── では、最後にメッセージをお願いします!

池田 「何の気なしに見られるとても窓口が広いドラマだと思うんです」

田口 「見る人を選ばないドラマですよね。日本にこんな名建築があるんだという再発見もありますし」

池田 「しかも東京で」

田口 「そこでランチもできるんだぞという。その楽しさはまさに今、僕たちが体験している最中です。とてもときめきますし、心地よい…いい温度の温泉みたいなドラマになるような気がしますね」

池田 「ドラマの部分でもいろんなキャラクターが出てくるので、自分に重ねて見られる人物もいるんじゃないかと思います。すごくかわいいドラマですよね」

田口 「かわいいです」

池田 「あ、ただ、見てるとどうしてもおなかすいてしまうと思います。しっかりと夕食を食べておくと、暴飲暴食は防げるんじゃないかなって思います(笑)」

好きな建築物は?

池田 「建築にはあまり詳しくないのですが、スペインでサグラダ・ファミリアなどで有名な、アントニ・ガウディの建築を見て回ったのは楽しかったです。日本でいえば、川崎市にある岡本太郎美術館。建物の見た目や内装はもちろん、菖蒲の花が咲いている池や散歩ができる森、芝生にモニュメントと、私のお気に入りがたくさん詰まった場所です」

田口 「以前から近代建築の三大巨匠のひとり、ル・コルビュジエが好きで、本を買ったり、彼の作品である国立西洋美術館へ行ったりしていました。本作で建築家たちの相関図を書く場面があるんですけど、そこでもコルビュジエら巨匠と登場する建築物が、どこかでつながるということが知れたのがうれしいし、撮影をしていて楽しいところです」

【プロフィール】

池田エライザ(いけだ えらいざ)
1996年4月16日生まれ。2015年に園子温監督の映画「みんな!エスパーだよ!」のヒロインに抜てきされ、本格的に女優活動を開始。ドラマ「ぼくは麻理のなか」(FOD)や映画「一礼して、キス」「貞子」など多くの話題作に出演。初監督を務めた映画「夏、至るころ」が2020年公開予定。


田口トモロヲ(たぐち ともろを)
1957年11月30日生まれ。映画「鉄男」をはじめ、数多くの映画に出演。「アイデン&ティティ」「ピースオブケイク」など映画監督としての顔も持つ。「植物男子ベランダー」(NHK BSプレミアム)、「バイプレイヤーズ」シリーズ(テレビ東京ほか)などのドラマ出演作も多数。映画「ミッドナイトスワン」が2020年秋公開予定。

【番組情報】

真夜中ドラマ「名建築で昼食を」
8月15日スタート
テレビ大阪 土曜 深夜0:56~1:26
BSテレ東 土曜 深夜0:00~0:30

有名建築家を父に持つ建築模型士・植草千明(田口トモロヲ)はノスタルジックでかわいらしい「乙女建築」巡りが趣味で、SNSにその成果を上げている。一方、広告代理店で働く春野藤(池田エライザ)は元カレからぬか床を預かる羽目になり、複雑な心境でかき混ぜる毎日を送っている。将来の夢である友人とのカフェ開業の参考にと、藤は千明のSNSをフォローしていた。SNSを通じメッセージをやりとりしている中で、藤と千明は一緒に名建築でランチをすることに。出会った時に渡されたお菓子の懐かしいイラストの包み紙を、大事にはがす千明に共感する藤。そして名建築を巡っているうちに、千明の一風変わった独特な価値観やものの捉え方や視点に興味を抱いていく。

取材・文/衣輪晋一 撮影/蓮尾美智子

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