「黒い雨」控訴 長崎県「被爆体験者」原告ら 怒りや失望の声

©株式会社長崎新聞社

 「黒い雨」訴訟の控訴を受け、被爆者と認めるよう訴えている長崎県の「被爆体験者」訴訟の原告らからは「残念でならない」「高齢者を苦しみから救う決断をしてほしかった」などと怒りや失望の声が上がった。
 本県では、国が定めた指定地域以外で原爆に遭った被爆体験者らが、長崎市などに被爆者健康手帳の交付を求め再提訴し、係争中。第1陣の原告団長、岩永千代子さん(84)は「広島市と広島県は国の言うままになって情けない」と批判し、再提訴に向け準備している第2陣の原告団長、山内武さん(77)も「われわれの思いがへし折られたようで腹立たしい。いつまで先延ばしにするつもりか」と憤った。
 国が援護対象区域の拡大も視野に入れた検証に言及したことに、被爆体験者訴訟弁護団の三宅敬英弁護士は「対応が一貫していない。控訴しなければいいのでは」と冷ややか。訴訟への影響について中鋪美香弁護士は「高裁で判決が変わるようなことがあればマイナス。せっかくの追い風だったのに、失速してしまう」と懸念した。
 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は「腹の底から込み上げてくる憤りを禁じ得ない」として、控訴取り下げなどを求める談話を発表。国に対し、長崎の被爆地域拡大を求めている長崎市の田上富久市長は控訴に「残念に思う」とした上で、「国からは援護区域の拡大を視野に対象区域の再検討を行うとの考えが示されており、今後の動向を注視したい」とのコメントを出した。