温泉入るのに税金がかかるって本当? 温泉にまつわる税金トリビア

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入湯税は誰に払うの?

誰が課税するかという観点で分類すると、税金には、国税と地方税があります。国税は国が課税主体、地方税は都道府県や市町村です。例えば、所得税や相続税、贈与税、国の消費税は国税、地方税の代表例は住民税や地方消費税です。

地方税の課税主体で見ると、次のようなものがあります。
都道府県税の例……ゴルフ場利用税、不動産取得税、道府県民税、道府県たばこ税
市町村税の例……入湯税、都市計画税、固定資産税、市町村住民税、市町村たばこ税、

入湯税は市町村税ですね。「温泉入るのに税金払っていたの?」と驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 入湯代の中に含めて表示する施設もあるので、気づかないかもしれません。

入湯税の基礎知識

地方税法という法律で、「鉱泉浴場における入湯行為」には課税されると定められています。では、入湯税は何のために払うのでしょうか? 納税義務者や税額なども、見てみましょう。

納税義務者……鉱泉浴場における入湯客
1人1日 150 円が標準
(総務省「入湯税の概要」参考)

「鉱泉浴場」の意味ですが、原則として温泉法にいう温泉を利用する浴場のことです。そもそも「温泉」と名乗ってよいかどうかは、温泉法という法律で決められているのもびっくりですね。

法律上の「温泉」とは、次のものをいいます。

◇温泉の定義◇
「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、一定の温度または物質を有するもの」

温泉に行くと、温泉の主成分や効能が書かれている表札のようなものが、掲げられています。
温度や物質によって「温泉」とみとめられるかどうか違うと知っていると、効能書き1つとっても、興味深い対象です。

日帰りでも入湯税を払う!?

ものものしい感じの入湯税ですが、旅館やホテルの温泉に入るときだけ課されるのでしょうか? 何と、いわゆる「運び湯」による日帰り入浴施設での入湯でも、入湯税を払わなければなりません。施設の種類や宿泊の有無は関係なく課税されるということです。

この入湯税は乳児、幼児及び小学校の児童など一定の条件に当たる人は免除されます。おもしろいのは、修学旅行などの学校行事で入湯する生徒と引率の先生は、入湯税が免除されることです。
ただし、事前視察のために温泉を訪れた先生は、入湯税の免除は受けられません。何とも細かい規定です。

入湯税は観光地の財源

税金には課税主体による分類だけでなく、使途を限定した税金かどうかという分け方があります。「普通税」は使途を限定しない税金、「目的税」は特定の目的のために使う税金です。
入湯税は後者の目的税に当たります。

◇入湯税の目的◇
・観光の振興(観光施設の整備を含む。)に要する費用
・環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設および消防施設などの整備や、整備に要する費用

入湯税の税収は私たちが安心して温泉や周辺で休日を過ごすための財源となっているのです。

まとめ

入湯税はポピュラーですが、かつて、物議をかもしたのは「古都保存協力税」という地方税法にもとづき京都市の条例で定めた税金がありました。寺院に課税されるのか観光客も払わなければならないのかなど、大きくもめた税金です。

租税法律主義という言葉があります。納税は私たち国民の義務だからこそ、国民の代表である国会で作った法律で課さなければならないという意味です。私たちは非常に多くの種類の税金を払っています。この記事が税金について考えるきっかけとなれば幸いです。

[出典]
総務省「入湯税の概要」
岩手県盛岡市「入湯税の取扱い運用について」

執筆者:石井美和