コロナ不況下で公共工事が地域景気を牽引。地域により景気DIに大きなバラツキ

 5月下旬の新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言の解除後、6月には各種行動規制も解除され経済は徐々に回復基調で推移している。しかし、その歩調は極めて緩やかであるとともに、業種や業態、地域によって大きなバラツキがあるようだ。

 最も深刻なのは飲食業のようで一度離れた客足はなかなか元に戻らない。観光業もインバウンド需要は蒸発したままで苦しい状況が続いている。地域によって産業構造は様々で、当然ながら回復の足並みも地域間でバラツキがある。

 7月下旬、帝国データバンクが全国の地域を130の圏域に分割して圏域別に6月の景気DIを算出したレポートを公表している。レポートによれば、6月の景気DIを圏域別にみると、前月から改善となった地域は130圏域のうち95圏域で全てが改善という形にはなっていない。

 堅調な回復を示している圏域の景気DIを見ると、「高知東部(高知県南国市など)」が42.3でトップとなっており、次いで、「オホーツク(北海道北見市など)」の39.1、「大隈・奄美・熊毛(鹿児島県鹿屋市など)」38.3、「浜通り(福島県いわき市など)」37.7、「千葉南部(千葉県木更津市など)」37.5と続いている。各圏域ともDIは30~40台で景況としては良好な状態とは言えない。

 トップの「高知東部」や「浜通り」などでは災害復旧工事をはじめとする公共事業の発注で建設業を中心に景況感の改善がみられる。全国的に災害復旧工事などの公共事業が牽引している地域で景況感の改善がみられ、上記の「高知東部」や「浜通り」以外では九州の「県南・天草(熊本県八代市など)」が37.1と堅調な回復を示している。

 10ポイント以上の大きな改善がみられたのは130圏域のうち2圏域のみで、「三重南部(三重県伊勢市など)」は飲食料品小売業が改善し前月より13.3ポイント増加し27.4となっている。「吾妻・利根沼田(群馬県沼田市など)」では建設や卸売業界が牽引し前月比10.2ポイント増の33.3と大きな改善を見せている。

 逆に、唯一「東海」地域では全ての圏域で30を下回っている状態で、「西三河(愛知県豊田市など)」22.9、「静岡西部(静岡県浜松市)」では22.8と製造業の低調などにより低水準が続いている状況だ。

 全体としては民間需要の十分な回復は無く公共事業が堅調な圏域の景況を牽引している状況で地域ごとに大きな格差が見られる。(編集担当:久保田雄城)

帝国データバンクがTDB圏域別景気DI(2020年6月)を公表

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