狂言師・野村太一郎が語る“すゑひろがりず”「いい意味で“伝統芸能風”が浸透している」

©吉本興業株式会社

すゑひろがりず(南條庄助、三島達矢)のYouTubeチャンネル『すゑひろがりず局番』の収録に、狂言師・野村太一郎が参加しました。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

故五世野村万之丞(後に八世万蔵を追贈)を父に、現在は野村萬斎に師事し、次代を担う若手狂言師として狂言の魅力を伝えている野村。

『すゑひろがりず局番』では、野村演出の新作能『白雪姫』の制作秘話が語られたほか、すゑひろがりずが能・狂言を教わるなど、見どころ満載の内容に。今回、ラフマガではその現場に潜入し、収録後には3人にインタビューを実施しました。

“狂言風”と“狂言”の違いが明らかに!

“狂言風”漫才が特徴のすゑひろがりずは、『すゑひろがりず局番』でスタートした『あつまれ どうぶつの森』(任天堂)の“狂言風”ゲーム実況である『集え!!けもの共の藪』で話題に。野村をゲストに迎えた収録では、“狂言風”と“狂言”の違いが明かされました。

収録に私服で登場した野村と、舞台衣裳で出迎えたすゑひろがりず。冒頭から「一見するとどちらが師匠か分からない」と笑いが起きます。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

番組では、すゑひろがりずが野村に『M-1グランプリ2019』(朝日放送・テレビ朝日系)決勝のネタを披露。それを見た野村から「“心得ました”は、2文字目が少しアクセントをもって、だんだんと下がっていく」と具体的なアドバイスを得ると、2人は「うわあー、すごいすごい!」と大興奮の様子。

『白雪姫』で使用した小道具を使ってリンゴの食べ方のレクチャーを受けた際には、和泉流の野村とすゑひろがりずの動きに違いがあることが明らかに。すゑひろがりずの動作は、関西を拠点とする大蔵流を真似たものであることが判明しました。流派で違う細かい所作のこだわりに、すゑひろがりずも感心しきりです。

また野村は、狂言の舞台で使っている“面(おもて)”も持参。面をつけると視野はほぼ遮られると言い、舞台上の移動は歩数で計算しているそう。驚くすゑひろがりずに、「せっかくなので、つけますか?」と野村が提案。本物の面をつけるという貴重な体験もしていました。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

一足先に新作能『白雪姫』のDVDを見たすゑひろがりずが、面白かった場面を再現するなど、笑いの絶えない収録となりました。

野村太一郎、すゑひろがりずに合流!?

ラフマガでは、収録を終えた3人にインタビュー。『M-1』決勝進出以前のすゑひろがりずが、野村の師匠(野村萬斎)と出会った番組についても語られました。

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――初めて共演されたとのことですが、収録を終えての感想をお聞かせください。

野村「非常に有意義な時間だったと思います。 “狂言風”と言っていただく中で、少なからず(狂言を)宣伝いただいているという感覚も私にはあるので。本物に触れていただいて、お互いに次のステップにつながる良い機会になったのではないかと感じております」

南條「まさかこんなことが実現するとは思っていなかったので、ただただ、僕らが得した企画だと思うばかりです。ラッキーですね」

三島「ネタをバージョンアップしていただいて。結局、すゑひろがりずに入っていただくという話は……」

南條「今日は決められないです」

野村「あはははは(笑)。これから要検討して」

南條「それ、言わないほうがいいですよ」

三島「いや、あるかも分かりませんから」

南條「ないって!」

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――太一郎さんはすゑひろがりずのお二人をどうご覧になっていますか?

野村「いい意味で“狂言風”、“伝統芸能風”というものが浸透しているように思います。僕が見ていると、狂言でもあり、歌舞伎でもあり、能でもあり、日本舞踊でもあり……というように、いろいろな要素をミックスして“すゑひろがりず流”とされている感じがします。僕はその狂言の部分でご一緒して、面白くできたらいいのかなと思いました。(師匠の野村)萬斎がご一緒したことがあるようで、“あの頃はまだ売れていなかったんだよな”と言っていましたよ」

三島「えっ!」

南條「萬斎さんに認識されていたということですね」

野村「そうです、そうです」

南條「以前一度、『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)というバラエティ番組で、萬斎さんがゲストで来られたときに、僕ら目の前でショートコントをした経験があって。そのときは、萬斎さんはピクリとも笑っていなかったんですけれども(笑)。収録の後に楽屋へご挨拶に行ったら、すごく優しく、いろいろなことを結構長い時間、教えていただいたんです。覚えてくださっていたということがちょっと感動ですね」

野村「もちろん僕も知っていました。『M-1』も拝見しました。狂言をやっている者は、良くも悪くも認識していると思います。僕は良く思っていますし、非常に面白いなと率直に思っています」

三島「ありがとうございます」

南條「嬉しいです」

野村「違いといえば、例えば僕らは“殿”という言葉は使わないんです。もうちょっと古い時代なので“大名”になったりする。“なれば”とおっしゃいますが、僕らは“されば”と言うんです」

南條「はあ、“されば”かあ」

野村「そういうところが、少し近代的というか。江戸時代になるとそういう言葉遣いもあるので、歌舞伎や講談など、いろいろな伝統芸能を感じ取ってやっていらっしゃるのかなと思っていました」

三島「本当にそうですね」

すゑひろがりずのほうが師匠風に見える!

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――すゑひろがりずのお二人は、どうやって伝統芸能の所作や発声を身につけたのですか?

三島「全部YouTubeです。収録の中で“手を開いているのは大蔵流に近い”とおっしゃっていただいたのですが、僕が観ていた動画がたぶん大蔵流だったんですね。いろいろな流派の動画が入り混じった状態になっていると思います」

南條「たしかに。きっかけは、起死回生、一発逆転を狙った“狂言風クリスマス”というショートコントでした。それがあり得ないくらいウケたんです。たぶん狂言とか伝統芸能みたいなものは、詳しくはなくても、絶対どこかで一度は目にしていると思うんです。だから“あるある!”みたいなことで笑っていただいたと思うんですけれど」

野村「へえ。僕もなぜ狂言に行き着いたのか、すごく不思議ではありました」

南條「先に狂言を知っていて、“狂言が面白いからやろう!”じゃなくて、“どうしよう……”というところからだったんです」

三島「クリスマスを伝統芸能風に表したらウケるんじゃないかと」

南條「若いお客さんばかりだったのですが、みんななんとなく分かるようで。すごく反応が良かったんです」

――すゑひろがりずのお二人は、伝統芸能に親しみを持っていたのですか?

三島「様相が和風なくらいです」

南條「どちらかといえば、体型かな。太一郎さんのほうが今風ですよね。僕たちのほうが本物感が出ています(笑)」

野村「装束を着たら、なんとなく(狂言師だと)思ってもらえるんですけど。たしかに今風すぎて、全然入り込めないでしょうね(笑)」

南條「洋服を着てこの感じで喋られていたら、たぶん僕らのほうが“師匠感”出ていますよ。もしかしたら」

野村「あははは。出ています。もともと“和”の雰囲気があるんでしょうね」

南條「日本人体型というか」

狂言のゲーム実況をオファー!?

出典: ラフ&ピース ニュースマガジン

――配信をご覧になる方に、メッセージをお願いします。

三島「初めてのコラボで本物の方に教えていただいて、面もつけさせていただいて、いい体験になりました。太一郎さんを見に来られる方にもチャンネル登録をしてほしいと思います! 『白雪姫』も、ぜひ」

南條「逆や! 僕もまさかこんなに早いことプロの方とお話しできるとは思っていなかったので、これは永久保存版です。今回の収録は、自分でも困ったときに何回も見て確認したいと思います。配信しなくても、自分用に持って帰りたいくらいです。

僕、先に『白雪姫』を観させてもらったんですけれども、かなり面白いので、ぜひ皆さんにも買っていただいて、ご覧になっていただきたいと思います。本当に笑える場面もいくつもあるので、おすすめです」

野村「(すゑひろがりずは)萬斎から僕のところにつながって、ご縁があったのかなと思いました。“狂言”も“狂言風”も、どちらも世に浸透して、日本の良さを感じていただけたら嬉しいなと思います。

僕が初演出させていただいた『白雪姫』は、監修を萬斎にお願いしていて、狂言の要素も多く入れつつ見やすいものになっています。ぜひご覧いただいて、感想などいただけましたら。いつか、ゲーム実況していただいても面白いかなと思いました(笑)」

南條「うわあ!」

三島「させてください、ぜひ!」