中国からの“謎の種”、被害者は「送られた人以外」の可能性も

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コロナの蔓延により、通信販売でものを買う人が多くなりました。すると、そこに付け入って大手通販業者になりすまして詐欺メールを送り、偽サイトに誘導して、個人情報を盗み取ろうとしてきます。デジタルな形でのアプローチがはびこる一方、電話、郵送といったアナログな手法も使いながら、詐欺師は私たちを騙そうとしてきます。


実際にきたメッセージ

このところ多いのが、フェイスブックのアカウントの乗っ取りです。先日も、知人から「このビデオはいつでしたか?」というメッセージがきました。そして動画をクリックするように仕向けてきます。しかし、それをタップしても動画は再生せず、パスワードなどを入力する画面が出てきます。もしここに個人情報を入れてしまうと、アカウントが乗っ取られてしまいます。そして本人になりすまして、SNS上の友達にも同様な動画を装ったメッセージが配信されます。

IPA(情報処理推進機構)によると、この後さらにアンケートサイトなどが表示されて、クレジット情報の入力を促されるとのこと。ここ一か月だけで、複数の知人から「このビデオはいつでしたか?」のメッセージがきていましたので、かなりの数の人が乗っ取りに遭っていると思われます。

進化しているアナログ手法

こうしたデジタルな詐欺が横行している一方、ネットを使わない人たちを狙い、電話や郵送などのアナログな手法も駆使してきています。

架空請求といえば、ご存じのようにハガキで「未納料金があり、あなたは民事訴訟を起こされている。連絡が無い場合、給料や不動産を差し押さえる」という脅しの文面を送ってきて、連絡してきた人から、裁判取り下げ費用などの名目で金を騙し取ろうとするものです。

6月以降、愛知県や静岡県では、ハガキではなく「東京法務管理局」なる封書が数多く送られてきています。封書には「訴状」「答弁書」などの3枚の書面が入っており、すでに金銭的な被害も発生しています。

架空請求=ハガキという注意喚起が徹底されて、ハガキで騙す効率が悪くなってきたのでしょう。書面という、より信ぴょう性をもたせた形で騙そうとしてきています。さらに文書には「ハガキによる督促は詐欺です」とも記されており、最初にこの布石を打つことで詐欺と疑われないようするための工作も施されています。また「お車での来庁はお控えください」とまであり、アナログはアナログなりに進化してきています。

組織的詐欺がネットを通じたデジタル詐欺と、電話や郵送といったアナログな手法を使うのは、この両面からのアプローチをすることで、幅広い世代を騙せるからに他なりません。

+873からの電話に注意

ただし、詐欺は国内から行われるわけではありません。国外からのアプローチも多くあります。被害の多いものに国際ロマンス詐欺があります。これは、SNSでイケメンの外国人の男女が異性に恋愛感情を抱かせながら、言葉巧みに金を騙し取る手口です。女性の被害も多いですが、男性も騙されています。

今月、国際ロマンス詐欺を行っていた外国人グループが捕まりました。被害総額は1億円にも上るといいます。しかし、この男たちは口座を開設して、お金を振り込ませた後に出金する受け取り役で、いわば詐欺の末端です。この背後には大きな組織があり、SNSにてメッセージで送るグループは海外のどこかにいて、昼夜問わず詐欺を行っています。

デジタルな詐欺をする集団がいるとすれば、当然、アナログな手段を講じるものもいます。その一つが、国際ワン切り詐欺電話でしょう。このところ、海外から+873の番号で電話がかかってきています。知人からも、この番号でかかってきたという報告も寄せられましたので、かなりの人に掛けられています。もし折り返してしまうと、高額な通話料金が発生します。ここには、電話を発信する詐欺グループと海外の電話会社が一体となって、金を騙し取ろうとする構図があります。

実は、このところ多発している「謎の種」の郵送もまた、国際的な詐欺集団が行う、アナログな手口ではないかと考えています。もちろん種に病原菌などが付着していることもありえますので、植物防疫所に連絡することも大事です。ただバイオテロが目的ならば、すでに日本、アメリカなどの公的機関からその旨の発表があってもよいところですが、今のところ何にもありませんので、詐欺の可能性が高いと考えています。

謎の種の目的、第5の可能性も浮上

前回での記事ではいくつか、詐欺の可能性について触れてきました。

商品を送って、大手の通販サイトに本人になりすまして高評価を書き込み、サイトの評価をあげて人を呼び込こもうとするブラッシング詐欺のほか、「送り付け商法」「国際ワン切り詐欺」「個人情報の確認」「ポイント詐欺」の4つの可能性を指摘しました。

さらに、“謎の種”の情報を精査しているうちに、第5の可能性も浮上してきました。それは、クレジットカード詐欺です。

大手の通販サイトから、商品を送っているわけですから、少なからず代金の決済をしているはずです。とすれば、そのサイトにクレジット情報を打ち込んでいる可能性は決めて高いといえます。しかし今のところ、種を送付された人に不正なクレジット決済の履歴があったという報告は入ってきていませんので、おそらく通販サイトには、不正に仕入れた第三者のクレジットカード情報を入れている可能性があるのです。

そもそも大手の通販サイトに出店している販売業者と、注文者はグルなので、宝石、イヤリングなどの注文を受けると、種というコストのかからないものを送る。代金は、当然、詐欺業者に入る。さらに、注文通りに商品を送っている事実があるので、販売サイトは優良業者ということになり、さらに新規の騙し客もゲットできるでしょう。ある程度、騙したら、そのうちに販売サイトは消える。この繰り返しではないかとも思われます。

つまり、クレジットカード詐欺の被害者は、商品を送られた人以外という可能性です。送られてきている地域が、アメリカ、イギリス、日本と通信販売でクレジットカードを使う人が多い国であるという共通点もあるように感じます。郵送費をかけてまで、商品を送って、なぜ儲かるのかを考えると、この可能性が出てくるのです。

詐欺はデジタル、アナログの両面からやってきます。それゆえ、被害を受ける層は若い人から、高齢者までと幅広くなります。

今、謎の種が送られてきている現状を見聞きして「自分のところには来ていないから、大丈夫」と思っている人が、実は被害にあっているかもしれません。知らぬ間に、宝石やイヤリングなどの代金が引き落とされていないか、確認することをお勧めします。