台湾料理店・凱莎琳「こっそり閉店」のはずが 店主キャサリンさんとの名残り惜しみ常連さん集合 沖縄市

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常連客らに囲まれ笑顔を見せる店主の國場清玉さん(前列中央)=10日、沖縄市中央の台湾料理店「凱莎琳(キャサリン)」

 沖縄市中央の台湾料理店「凱莎琳(キャサリン)」が10日、30年以上の歴史に幕を閉じた。店主の「キャサリンさん」こと國場清玉(せいぎょく)さん(71)の飾らない人柄と家庭的な台湾料理の味が地域で親しまれ、閉店当日は多くの常連が集まり名残を惜しんだ。(中部報道部・宮城一彰)

 閉店に際しては店内に貼り紙を掲示しただけで大きな告知はしなかった。國場さんは「新型コロナウイルスで世間は大変だし、お客さんには失礼かと思ったけどこっそり閉店することにした」と言うものの、当日は聞きつけた多くの人が次々と訪れ、記念の花や手紙も届けられた。

 國場さんは台湾出身。店は1986年ごろに現在の場所から数十メートル離れた場所に開店した。「さまざまな国の人が行き交い人情味あふれるコザの雰囲気に一目ぼれした」と話し、以来1人で店を切り盛りしてきた。

 杏仁(あんにん)豆腐や大根もちなど多彩なメニューは好評を博し、地元の人だけでなく県外からもファンが訪れたが、年齢を重ね体力的な限界を感じたため、店を畳むことを決めた。

 店が多忙な時は手の空いた客が別の客にお酒や料理を運び、片付けるようなざっくばらんな店だった。常連らは「お店というより家庭だね」と笑う。「みんなの力で店を支えてもらった」と國場さんは感謝を忘れない。

 開店時からお酒を卸している「とおやま酒店」の大浜洋美さん(73)は國場さんについて「最初はお得意さんだったけど、今ではそれ以上、姉妹のような関係」と話し、「努力家で頑張り屋だから客がついてくるし、そこがお店の魅力だった」と振り返った。

 沖縄市を中心に台湾との交流に取り組む琉台文化交流協会の比嘉伸雄代表理事は「沖縄と台湾の交流促進にも尽力してくれて感謝している。今後はゆっくりしてほしい」とねぎらった。

 國場さんはこれからのことは決まっていないとしつつも「新しいステップに進む前向きな気持ち。またみんなが集まれるような場所が作れたらいいな」と話し、最後の夜を常連たちと笑顔で過ごした。