F1技術解説第5戦編:ヘルメットが動くことを防ぎ、ドライバーを守る『ジグザグ型シールド』

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 シルバーストンでの2連戦ということもあり、先週末のF1第5戦70周年記念GPではほとんどのチームでマシンアップデートは確認できなかった。そこでこの機会を利用して、メルセデスが採用しているユニークな形状のシールドを紹介しよう。

 メルセデスはすでに数シーズン前から、このジグザグ型シールドを採用している。その理由は、何なのか。まずシールドそのものの本来の役割について、メルセデスのテクニカルディレクター、ジェームズ・アリソンに説明してもらった。

「もしコクピット前方にこの小さなシールドがなかったら、走行中のドライバーは猛烈な気流でヘルメットが上方に引き上げられてしまう。運転どころではなくなって、非常に危険だ」

「そこでシールドを設置するわけだが、その一番の目的は前方からの気流をふたつに分離させることだ。ひとつは上方への高速気流。これでエアインテークへの空気の流入を助けるとともに、ドライバーのヘルメットがヘッドレストにしっかり密着する役割を果たす」

「そしてもうひとつが、コクピット左右に流れる相対的にゆっくりとした気流だ。そのおかげでドライバーは、上体を前傾させることができるんだ」

 ではジグザグシールドには、どんな付加価値があるのだろう。

「ジグザグの形状を加えた狙いは、高速と低速のふたつの気流の境界をぼやかせ、曖昧な領域を増やすことだ。高速気流は走行コンディションの変化によって、とんでもない流れ方をすることがある。万一それが起きると、ドライビングに支障を来すことさえある。それを防ぐために、この措置を取っているということだ」

メルセデスが採用しているジグザグ型のシールド