MotoGP第5戦:KTMファクトリーチームのポル・エスパルガロが初日総合トップ。3番手には中上がつける

 MotoGP第5戦オーストリアGPのフリー走行1回目、2回目がオーストリアのレッドブル・リンクで行われ、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が初日総合トップタイムをマーク。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は3番手につけた。午後に行われたフリー走行2回目はウエットからドライに路面状況が変化する難しいセッションとなった。

 オーストリアGPは第4戦チェコGPに引き続き、スペインGPで骨折した右上腕の回復に努めるマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が欠場。ステファン・ブラドルが代役として参戦する。また、チェコGPのフリー走行1回目で転倒し、右足の脛骨を骨折、手術を受けたフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)も同じく欠場となり、ドゥカティのテストライダー、ミケーレ・ピロが代役を務める。

 フリー走行1回目は気温18度、路面温度23度のドライコンディションで行われた。序盤にトップに立ったのはポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)。続いてアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)のドゥカティ勢が続く。

 セッション中盤にはアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が2番手に浮上。また、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)も4番手につけた。ミルはさらに残り時間11分、3番手タイムをマーク。トップをキープするKTMのエスパルガロ弟に、スズキのライダーふたりが続く。

 残り時間5分、エスパルガロ弟が自身のトップタイムをさらに更新。その直後、それまで8番手付近につけていた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が1分24秒476をマークしてトップに浮上する。しかしすぐさまエスパルガロ弟、そしてドヴィツィオーゾが中上のタイムを更新するなど、終盤にタイムの更新が続いた。

 エスパルガロ弟はそのまま、フリー走行1回目をトップタイムで終えた。セッションのほとんどの時間でトップを占めていた。2番手はドヴィツィオーゾが0.044秒差で続き、中上はトップのエスパルガロ弟から0.185秒差の3番手だった。

 4番手はリンス。ヤマハ勢はセッションをとおして苦しみ、最終的にフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が5番手につけたが、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)は10番手、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は11番手、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は13番手。

 また、前戦チェコGPで自身初優勝を飾り、KTMの最高峰クラス初優勝を達成したブラッド・ビンダーはセッションを通じて下位に沈み、16番手でフリー走行1回目を終えた。

■FP2:路面状況によりライダーの大半は終盤までピット待機

 フリー走行2回目のセッションの序盤は、午前中から一転。コースの3コーナー、4コーナー付近は水しぶきが上がるほどの路面コンディション。レッドブル・リンクは山間部に位置し、天候が変わりやすいことで知られている。こうしたコンディションのため、セッションが開始してもすぐに走行を行うライダーは少なく、ミル、ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)がコースインしたものの、間もなくピットに戻った。

 その後、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が数周するのみだったが、残り時間が10分になるころ、ヨハン・ザルコ(エスポンソラーマ・レーシング)や中上などがレインタイヤを履いてコースイン。

 さらに残り時間5分になると、多くのライダーがスリックタイヤを履いて走行を行った。こうしたなか、トップタイムをマークしたのはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)。ミラーはひとり、1分26秒台のタイムでフリー走行2回目をトップで終えた。

 2番手に続いたのはイケル・レクオーナ(レッドブルKTMテック3)、さらにオリベイラが3番手につけ、レッドブルKTMテック3が2番手、3番手となった。リンスが4番手に続き、前戦チェコGPで3位表彰台を獲得したザルコは5番手。中上は16番手でセッションを終えている。

 フリー走行2回目のセッション終了後には、日曜日の決勝レースに向けてフラッグ・トゥ・フラッグを想定したマシン乗り換えの練習を行うライダーもいた。

 初日総合としては、ドライコンディションで行われたフリー走行1回目のタイムが各ライダーのベストとなり、エスパルガロ弟がトップ、2番手にドヴィツィオーゾ、3番手に中上、4番手リンス、5番手モルビデリというトップ5となった。

2020年MotoGP第5戦オーストリアGP ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

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