目標4倍以上で絶好調、「ダイハツタフト」グレード選びの極意

6月10日の発売開始前から事前予約も好調、月間の販売目標台数4,000台に対して1ヶ月強で約1万8,000台の受注し(現在は軽く2万台を超えているはず)絶好調のスタートを切ったクロスオーバーSUVがダイハツ タフトです。待望の試乗を通して伝わってきたのは思わず出かけたくなる「ワクワク感」でした。


話題性抜群「スカイフィールトップ」

タフトの魅力は数多くありますが、話題性も含め「スカイフィールトップ」を全グレードに標準装備したことが一番大きいです。

「スカイフィールトップ」は固有名詞で、いわゆる「ガラスルーフ」に該当します。元々、頭上周りも含め、室内空間に余裕があるSUVスタイルでありながらこれを装備したのは競合他車も含めた差別化を行うためで、商品企画の強いこだわりです。

現在もサンルーフやガラスルーフといった名称の装備を設定しているクルマはありますが、日本の市場では80~90年代にかけて流行った後は装着率も低下しているのが現実です。

全車採用は「コスト意識の産物」

これまでこの手の装備はグレードに応じて標準装備かメーカーオプションかを選択するのが定石でした。しかしタフトは前述した差別化だけのほか、軽自動車において設定を増やすことは逆にコストがかかってしまうことから「ならば全部標準装備」と割り切った点です。

スカイフィールトップは全グレード標準装備。もちろんスーパーUV&IRカットガラスを採用します

つまり設定の有無で2種類のクルマを作ることになってしまうならば、標準装備化し設計を効率化、さらに車両価格を抑えることにもつながるという、コスト意識がプラスに働いた産物とも言えるのです。

ただの“開放感”とは違う

実際クルマに乗り込み、手動のシェード(日よけ)をスライドさせると室内がパーッと明るくなります。日本でサンルーフの市場が縮小した理由の中に「思ったより恩恵が少ない」というものがあります。わかりやすく言うと構造上ルーフの位置が頭の直上に設定されることが多く、視覚的に室内から外の様子を見ることができないからです。

しかしスカイフィールトップはガラスルーフ部を前端ギリギリまで出しつつ、さらに大型ということもあり、運転中に視線をほんの少しだけ上に動かすだけで頭上の風景を見ることができます。また助手席や後席からでもこの圧倒的とも言える頭上の開放感は体感可能です。昼間だけではなく、ライトアップされた街中を走る際にも新鮮な風景を楽しませてくれます。

タフさを強調するインパネ周り。収納も多く、前方視界も良好です

さらに小さな交差点などでは停止線前に停まっても信号が見えづらくなるケースもありますが、こういう時にもルーフ越しから信号の状況を確認できるのは実際走ってみて感じた大きなメリットでした。

シンプルなグレード構成、悩む部分あり

タフトのグレード構成はシンプルで最廉価のXから最上位のGターボまでわずか3つ。これにFFのほか4WDグレードが設定されますので合計6グレードの中から選ぶことになります。

駆動方式に関しては降雪地に住まれている方やウインターアクティビティを頻繁に楽しまれる方であれば4WDをオススメしますが、基本はFFで十分です。

次はグレード選びになります。最廉価のXの価格は135万3,000円と圧倒的な低価格です。クルマは道具という強い割り切りがあればこのグレードを選んで自分好みにカスタマイズするというのも面白いでしょう。ただ基本は中間のGグレードのコスパが高いのが現実です。

ボディカラーはフォレストカーキメタリック(手前)を含め合計9色から選べます

ダイハツの先進安全装備である「スマートアシスト」は全グレード標準装備ですが、シートヒーターやフロントドアのスーパーUV&IRカットガラス、そしてアルミホイールなど価格差13万2,000円以上の装備が装着されています。

一方GターボとGの価格差は12万1,000円ですが基本装備に関してはほぼ同じです。もちろんターボを装着しているから当然価格差は発生しますが、ならば最もお買い得なのはGグレードなのか?となりますが、実は筆者はGターボをオススメします。

Gグレードにないもの

タフトのGグレードには、自然吸気エンジンとしては珍しく全車速対応のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)がメーカーオプション設定されています。ちなみにライバルと目されるスズキ ハスラーの自然吸気モデルには設定はありません。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のスイッチは新設計で使いやすくなりました

もちろん高速道路は乗らないので問題ない、という人には不要なのかもしれませんが、やはり先進運転支援システムはこれからの時代必要になってきます。ちょっと遠出をする際や高速道路に乗ることになった時、その便利さは圧倒的、ドライバーの疲労軽減にも寄与しますのでやはり欲しい装備であることは間違いありません。

さて、今回筆者がおすすめするGターボにはACCやLKC(レーンキープコントロール)を含めた「スマートクルーズパック」が標準装備されています。一方、Gグレードは4万4,000円のメーカーオプションです。つまりこれを装着すると価格差は7万9,000円まで縮まります。

またGターボには新型タントから採用した「D-CVT」と呼ばれる新型のトランスミッションを搭載しています。伝達効率に優れ、高速走行時のエンジン回転数を抑えることで燃費向上にも寄与するこのトランスミッションですが、なぜかGグレードには従来型のCVTとなっています。この辺が唯一のコスト低減の反動なのかとも感じましたが、街中から高速、さらに多彩なアクティビティに対応できるタフトだからこそGターボの方が似合っています。

今回試乗して感じたことは、クルマ全体としての振動の少なさや乗り心地の良さ、そしてスカイフィールトップを搭載しながらロールなどもうまく抑えた仕上がりですが、街中でもエンジン回転数が高めになり結果としてやや静粛性の面で不利になるGに比べGターボはどの速度域でもスムーズなフィーリングです。

話題のDA、選び方のコツは?

この他にも昨今人気が出てきたスマホを接続してカーナビとして使えるDA(ディスプレイオーディオ)もメーカーオプションで設定されています。この部分は好みもありますが、大画面の9インチディスプレイタイプであれば8万2,500円、価格を抑えたいのであれば6.8インチタイプは5万5,000円で設定されています。

カーナビは写真の9インチモデル(ディーラーオプション)の他、話題のDAモデルも選べます

ただこれもまた細かいのですが、9インチタイプにはフルセグTVが標準装備されるのに対し、6.8インチモデルは設定がありませんのでその点は注意が必要です。

またユニークな装備としてロッキーから採用を開始したWi-Fiルーターは標準装備(販売店装着)、車内でメールや動画鑑賞などもできる優れものです。


昨今の軽自動車は登録車より価格の高いモデルが多くなってきており、車両本体価格だけで200万円を超えるモデルもあります。もちろん軽自動車だからと言って安全装備を手抜きするわけにもいきませんし、軽自動車ならではの税制上のメリットもあります。その中でタフトは筆者が実際ディーラーに行って見積もりを取ったところ、Gターボに9インチのDAを選び、いくつかのディーラーオプションを付けても200万円を切る内容でした。コスパに優れ、スカイフィールトップという武器を手にしたタフトが売れている理由を改めて感じています。

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