地元産シカ肉を使ってスパゲティー 「ヘルシーな肉を軟らかく、食べやすく」

シカ肉を使ったミートボールスパゲティ=伊勢原市役所

 伊勢原市役所併設の食堂「お食事処しいの木」が、地元で捕獲されるシカの肉を素材にしたスパゲティの提供を始めた。農作物被害の減少を目指し、食堂の運営会社が開発した。市は「伊勢原産ジビエ」と銘打ってPRに努め、シカ肉の消費拡大につなげる。

 新メニュー「鹿肉のミートボールスパゲティ」(税込み690円)は3日から販売を開始。使用されている肉は、市有害鳥獣対策協議会が同市大山地域に整備した食肉処理施設で加工されている。

 食堂を運営する「セゾオン」(同市粟窪)は、地元シカ肉のメンチカツカレーを4月から販売。売れ行き好調で、店長(38)が5月ごろから新商品開発に着手した。ミートボールは冷めても硬くならないよう、1対1の割合にしたシカと豚のひき肉に香草入りのパン粉を加え、トマトソースと相性を良くした。

 店長は「脂身が少ないヘルシーなシカ肉を軟らかく、食べやすくした。伊勢原でシカ肉を食べられることを知ってほしい」と期待を込める。

 市農業振興課によると、シカによる農作物被害は歯止めがかからない状況だ。コマツナ、ホウレンソウなどの被害額は2017年度は245万円、18年度は402万円、19年度は800万円と急増している。

 捕獲数も増え、17年度43頭、18年度57頭、19年度75頭と推移。本年度は4~6月で45頭(前年同期比24頭増)で、同課は「わなや銃器で捕獲しても数が増え、何らかの対策が必要」と危惧する。今月4日の定例会見で試食した髙山松太郎市長は「イノシシやシカの食害は目に余るものがある。肉を有効活用し、名物の一つになってほしい」と話した。

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