異例の長梅雨、三浦スイカに大打撃 需要伸びず価格も低迷

収穫が落ち込み、「スイカ完売」と閉店を知らせる張り紙が張られる直売所=14日、三浦市内

 異例の長さとなった梅雨の影響が、夏の味覚に打撃を与えている。三浦市内では名産のスイカの収穫が落ち込んだ上、短い夏で需要が伸びずに価格も低迷。昨年も日照不足で苦しんだだけに、スイカ農家からは「もうやめようか」と悲鳴が上がる。

 「2年連続で同じような状況が続き、『三浦スイカ』としての商品価値が失われかねない」。三浦市農業協同組合の担当者が顔をしかめた。

 梅雨前線の停滞により、県内では7月中旬まで長期間大雨となり、日照時間の少ない状態が続いた。横浜地方気象台によると、三浦市内の観測地点では、7月の日照時間は平年の半分程度にとどまり、降水量は3倍超となった。

 同農協は今シーズン、大玉と小玉を合わせて計24万5千ケースの出荷を計画していた。しかし、長雨により、スイカを腐らせる病気が流行したため、今夏の出荷量は計画の7~8割程度になる見込みという。

 梅雨明けが後ろ倒しになるにつれ、スイカ需要も低迷。涼しい気候で、単価は2018年と比べて6~7割まで落ち込むことになりそうだ。

 商品にならなかったスイカは大量に処分された。市内の汚泥処理施設「三浦バイオマスセンター」では例年、スイカが中心となる7月の搬入量は100~200トンだが、19年は約428トン、今年は約366トンに上った。スイカを積んだ軽トラックが1日20~30台訪れたといい、担当者は「16~18年比で3倍近くになっており、去年と今年は極端に多い」と驚きを隠さない。

 同市で小玉スイカを扱う農家の男性(58)は「来年はもう、スイカを作るのをやめようか考えている」と頭を抱える。今夏は約1800ケースの出荷を予定していたが、スイカに病気が出始め、7月下旬からは商品として出せるものが採れなくなり、出荷は予定の半分にとどまった。

 現在はスイカ畑を片付け、9月から始める大根の作付けの準備を進めるが、スイカ用肥料や消毒などの費用は重くのしかかる。男性は「2年連続でこうした状況が続いた。いい加減、苦しい」と吐露した。

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