戦後75年、横浜で追悼式 コロナで縮小、遺族高齢化「今年で最後かも」

新型コロナの影響で規模が縮小される中、参列者が献花した県戦没者追悼式=15日、県戦没者慰霊堂

 75回目の終戦の日を迎えた15日、神奈川県遺族会主催の県戦没者追悼式が県戦没者慰霊堂(横浜市港南区)で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、今年は参列する遺族の数を減らすなど規模を縮小。県内の戦没者5万8千余を悼み、不戦の誓いを新たにした。

 県遺族会によると、遺族の平均年齢は80歳と高齢で感染による健康リスクが高いことから、今年の追悼式は遺族会の役員に絞り込むなどして規模を前年の140人から30人に縮小。感染予防策として座席間隔を広げて密接を避けるとともに、全員がマスクを着用するなど異例の夏となった。

 岩田全弘会長の代理で式辞を読んだ柴田倭敏副会長(79)=藤沢市=は「戦争の悲惨さと平和の尊さを深く心に刻み、次の世代に記憶を継承していく責務を果たす」と強調。戦後75年の節目を迎え、戦争の記憶を風化させないと誓った。

 黒岩祐治知事は「私たちが享受している平和と繁栄は多くの戦没者の尊い犠牲の上に築かれている。(将来も)平和の世界を実現するために全力を尽くしていく」と追悼の辞を述べた。参列者が献花したのち、黙とうを捧げた。

 県遺族会の会員数は高齢化に伴い年々減少。今年は9749人となり、初めて1万人を切った。80代の遺族は「高齢のため出席できるのは今年が最後かもしれない」と話すなど、戦争体験の継承が大きな課題となっている。今年3月に青年部を設立し、戦没者の孫の世代を中心に約40人が活動を始めた。

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