ギターで「感性育てたい」 長崎ギター音楽院新院長 山下光鶴氏

長崎ギター音楽院の新院長に就任した山下光鶴氏=長崎市元船町、同音楽院

 国内外で活躍するプロギタリストや指導者を多数輩出してきたクラシックギター教室の長崎ギター音楽院(長崎市元船町)。本年度から国際的ギタリスト・作曲家の山下光鶴氏(25)が新院長に就任した。6月下旬に留学先のドイツから帰国し、本格的に教室運営に着手している。ギターを通じた音楽教育への思いなどを聞いた。

 光鶴氏は世界的ギタリスト和仁氏(59)の長男で、同院を設立した前院長の亨氏(86)の孫。亨氏が昨年8月、病気で体調を崩したため、同年10月からドイツと同市を行き来して院長代行を務めていた。
 現在、生徒は高校生~80代までの約50人。新体制での指導方針について「ドイツでの経験を生かし、演奏技術や表現方法を教えたい。作曲もできるような豊かな感性を育てたい」と語る。
 祖父や父の指導を受け、幼い頃からギターを始めた。毎日数時間の練習を重ね、中学2年ぐらいから演奏家の道を意識するようになった。「欧州や南米の家庭のように、家族で楽器を持ち寄りアンサンブルをすることも多かった」と振り返り、「生徒にも音を通じてコミュニケーションを取る楽しさを伝えたい」
 同院は山口修氏(長崎市在住)らトップギタリストを生み出してきたが、「プロを育成することだけが目的ではない。アマチュアがギターを学び親しむ場という役割は変わらない」と強調。「高度な合奏曲であっても編曲して優しいパートを作ることで、初心者がレベルの差を感じずに参加できる」とし「生徒が音楽をやりたいという自発性を重視する」と述べる。
 コロナ禍で大規模な演奏会を開くのは難しい状況。同院の定期演奏会も来年に延期となったが、「街角で気軽に演奏を楽しめる場を創出し、憩いや心の触れ合いを生み出すプロジェクトに取り組んでいく」と意欲を燃やす。

【略歴】やました・てるかく 1994年京都府生まれ、長崎市育ち。山下和仁ファミリーギタークインテットのメンバーとして、世界各地で公演に出演。県立長崎東高を卒業後、ドイツ・ベルリン芸術大に留学。在学中は欧州やアジア諸国などで演奏活動を行う。

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