【トップに聞く】 「滞在そのものが楽しめる施設に」 ニュウマン横浜店・金子岳史店長

ニュウマン横浜店 金子岳史店長

 横浜駅の新たな「顔」として開業した西口直結の高層ビル「JR横浜タワー」内に、ルミネ(東京都)が運営する大型商業施設「NEWoMan(ニュウマン)」横浜店がオープンした。国内屈指のターミナル駅周辺のさらなる活性化に期待が集まる一方、新型コロナウイルスの感染拡大下での営業という難しい局面での船出となった。金子岳史店長に施設のコンセプトや今後の方針について聞いた。

 ─横浜駅には「ルミネ」もあるが、施設の特徴は。

 「新しいマーケットを開拓していきたいというのが大きな狙いだ。横浜駅東口にはルミネがあるが、20代など若い層が中心。われわれは大人の女性向け商業施設として、30~40代の女性をターゲット層に置いている。ルミネと比べて商品単価も高いが、そうした商品を求める顧客の層をつくっていくということが目指すところだ」

 ─具体的な店づくりではどう差別化を図るのか。

 「例えば、ファッションだけでなく食やコスメといった分野の店舗も充実させた。神奈川ならではの食品やスキンケア商品などを取りそろえた専門店もあり、地元を押し出していることも大きな特徴だ。さらにJR横浜タワーにはシネコンが入居し、ビル構造としても開放的な空間を確保しており、滞在する時間そのものが楽しめる施設になっていると思う」

 ─都市間競争が厳しい中で横浜駅をどう捉えているか。

 「首都圏の中でも巨大なマーケットであることは間違いないが、横浜から東京都内に顧客が流出している部分がある。横浜駅は屋内で移動ができるので利便性は非常に高い。われわれとしてはとにかく市民の皆さまに末永く愛される商業施設を目指さなければいけないということに尽きる。横浜市内に加え、湘南地域や県西部も確実に取り込んでいきたい。これらのエリアにはない商業施設だと捉えているので駅全体で収益を上げるということで考えれば、一緒の駅の仲間として貢献できるのではないか」

 ─コロナ禍での開業となったが手応えは。

 「最初の5日間は入場規制を行うなどの対応を取らせてもらった。その中でリスクを感じる人もいらっしゃると思うが、接客を求めるお客さまはやはり多いと感じている。ただ全てが元通りというわけにはいかないので、一定の感染症対策は必要だ。オープンから日がたったということもあるが再び感染が広がってきて、当初より来店者数が減っている。プロモーションもこれまで限定的なものにとどめているが、やむを得ない。混乱を避け、少しでも安心して買い物をできる環境を継続してつくらなければいけない」

 ─感染症対策と営業の両立という難しさがある中で、実店舗としてどう事業を展開していくか。

 「感染症対策として新たにこれをやればいいという画期的なものはないと思う。改めて県のガイドラインなどを見直してきちんとやれているかチェックしている。リアルならではの存在感は、接客の部分と実際にお店に滞在して感じる点の大きくこの二つだと考えている。来店していただければ分かるが、ただ単に買い物をするだけでなく海を望んだり、駅周辺の景観を楽しんだり、幅広い年齢層の方が訪れている。ぜひ一度、施設を隅々まで見てもらえればと思う」

 かねこ・たけし 1985年、横浜ターミナルビル入社。営業部長、大船店長兼藤沢店長、取締役横浜店長などを経て、2020年4月より現職。法政大社会学部卒。藤沢市出身。58歳。

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