EV業界。コロナ危機後の排出ガス規制変革に適合できる企業が市場を牽引

 2020年は中国市場に牽引され世界的にEV(電気自動車)などのエコカーが普及するはずであった。しかし、昨年12月からの中国武漢を発生地とする新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響で中国市場はもとより世界的に自動車市場が停滞することとなった。中国に進出した日本メーカーの中には8割回復というニュースも聞かれるが本格的な成長軌道に入るためにはあと数年はかかる見込みだ。

 市場調査業のグローバルインフォメーションが調査レポート「EV(電気自動車)業界の新興企業」を11日に刊行、その一部を公表している。レポートによれば、BEV(バッテリー電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)などがバッテリー技術の革新と政府の支援政策によるコストの低下などを背景に世界的に成長を続けている模様だ。

 一方で未だ課題も多く、コスト面での劣位性、特定車種での入手の制限、充電インフラの格差などが成長を妨げる要因となっている。しかし、この克服すべき課題の存在は新たな参入企業が将来の自動車市場に足場を確立するチャンスを生み出すものにもなりうるとレポートは見ている。

 これまでのEV市場の成長は自動車市場全体の成長基調に支えられてきたもので、さらに政府の支援へも大きく依存している。しかし、こうした状況に変化が見え始めているとレポートは指摘する。中国や欧州を中心に世界の多くの地域でEV市場の大幅な普及率の拡大がみられるため、各国政府も政策支援のありかたの見直しを始めてきているようだ。

 これには新型コロナの影響による普及速度の鈍化も一因となっている。18年を頂点としてその後EV市場は足踏み状態にあったが、当初は21年から22年には再び高成長に回復すると見込まれていた。しかし、新型コロナパンデミックの影響で、その回復はさらに1、2年かかる可能性が出てきた。この回復への長期化の中で、各国政府、自治体が自動車排出ガスの与える影響について調査を強化するとレポートでは見込んでおり、「この変革に対応し、生き残ることができた企業は、成功する可能性が高いと考えられる」と指摘している。

 日本のメーカーも中国市場への参入を大きく打ち出し既に好成績を示しているところもあるが、日本国内でのEVの普及率は低く中国市場はパイロット市場になるとも考えられる。規制・支援策の変革の中で日本のメーカーがどこまで業績を伸ばせるか注目される。(編集担当:久保田雄城)

グローバルインフォメーションがレポート「EV(電気自動車)業界の新興企業」を発表

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