神奈川・城山ダム、「事前放流」18日から導入 大雨時に容量確保

昨年秋の台風19号の通過後も放流を続ける城山ダム=2019年10月、相模原市緑区

 相模川の洪水対策の一環で神奈川県は17日、城山ダム(相模原市緑区)でダムの水位をあらかじめ低下させる「事前放流」を18日から導入すると発表した。県は「ダムの計画を超える多量の雨が予想された場合に運用し、従来以上の容量を確保する」としている。

 県河川課によると、事前放流を行うのは、台風などが襲来するおおむね3日前にダムの上流で48時間480ミリ以上の雨が予想された場合。これまで実施していた「予備放流」の段階より水位を50センチ下げ、さらに多くの雨をためられるようにする。

 事前放流は渇水を招く恐れもあるため全国的に普及していなかったが、ダムの機能や運用のあり方が問われた2018年7月の西日本豪雨や昨年10月の台風19号を教訓に導入が加速。県は城山ダムについて、水道事業者などの利水関係者の同意を得て、台風シーズンが本格化する9月を前に態勢を整えた。

 併せてダムの操作方法も見直し、状況に応じて放流量を従来の毎秒3千立方メートルから同3400立方メートルに引き上げる特例操作も開始する。

 こうした手法を組み合わせることで、ダムへの流入量が増えて満水に近づいた際の最終手段である「緊急放流」を回避し、下流の氾濫被害をできる限り防ぐ方針だ。

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