『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』人気女優の監督デビュー作

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 『トロン:レガシー』『カウボーイ&エイリアン』『ラッシュ/プライドと友情』…ハリウッドの人気女優オリヴィア・ワイルドの監督デビュー作だ。女優としてはローレン・バコール、ダイアン・レインらに連なるクールビューティーだが、この映画は熱い! 主人公は、進学校のガリ勉女子高生コンビ。希望の進路を勝ち取るが、遊んでいるように見えたクラスメートたちも有名大学や一流企業に進むことを知る。二人は、“卒業前夜のパーティー”で青春を取り戻そうとするが…。

 本作の魅力は、卒業式の前日のほぼ一日に限定された時間の中で、脇に至るまで紋切り型に陥らない血肉の通ったキャラクターをそろえた脚本の力に負うところが大きいが、ワイルドの貢献も見逃せない。主演の二人よりも、むしろ周りに美形を配したキャスティングなのに、最後には二人が誰よりも眩しく輝いて見えるという“映画の魔法”を正しく実践してみせる。もちろんそれだけなら、女優として培ったスキルを演技指導に役立てたという評価で終わるところだが、遊び心がありながら手際のいい緩急自在の語り口も、初監督とは思えない。

 だからといって“職人的”という印象はなく、バービー人形によるアナーキーなエピソードや、ギミックをあざとく用いながら嫌味にならないセンスの良さなどに、監督としての個性も見て取れる。“女性映画”に期待の新星が誕生したと言えるだろう。★★★★★(外山真也)

監督:オリヴィア・ワイルド

出演:ケイトリン・デヴァー、ビーニー・フェルドスタイン

8月21日(金)から全国順次公開

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