【データ】“スプリントしない”セレッソ大阪、首位・川崎との天王山を前にすごいことに

新型コロナ禍で未曽有の過密日程となっている2020シーズンの明治安田生命J1リーグ。リーグ再開から1か月半を迎える8月19日(水)には第11節が行われる。

注目は、首位・川崎フロンターレと暫定2位・セレッソ大阪の直接対決。

まだ前半戦とはいえ、川崎が安定感のある戦いぶりで9勝1分と圧倒的な強さを見せていることを考えると、勝点7差のセレッソ大阪はアウェイとはいえ負けられない試合と言える。

そんなセレッソ大阪のサッカーには、データ的に大きな特徴がある。それは「スプリント回数の少なさ」だ。

以下はJリーグの公式データ「J STATS」による各チームの1試合平均のスプリント回数。

■J1 2020シーズン・スプリント回数

1 180 FC東京

1 180 横浜FM

3 177 湘南

4 172 鳥栖

5 170 札幌

6 169 鹿島

7 164 清水

7 164 大分

9 161 仙台

10 158 浦和

10 158 神戸

12 157 G大阪

13 154 川崎F

14 151 名古屋

15 150 広島

16 147 柏

16 147 横浜FC

18 119 C大阪

「J STATS」では、選手が時速24km以上で移動した際のトラッキングデータをスプリントとしてカウントしている。

10節終了時点では、FC東京と横浜F・マリノスがトップ。以下、湘南ベルマーレ、サガン鳥栖らが続くのだが、セレッソ大阪はと言えばなんと最下位。

しかも16位の柏レイソルと横浜FCに比べ、1試合平均で28回もスプリントが少ないのだ。これはスゴイ!

セレッソが1節から10節までの各試合で記録したスプリント回数を見てみよう。

C大阪 2020シーズン・スプリント回数

1節 135回 vs大分(H/○1-0)

2節 133回 vsG大阪(A/○2-1)

3節 131回 vs清水(H/○2-0)

4節 122回 vs名古屋(H/●0-2)

5節 145回 vs広島(A/○2-1)

6節 95回 vs神戸(H/△0-0)

7節 134回 vs鳥栖(A/△1-1)

8節 96回 vs湘南(A/○1-0)

9節 119回 vsFC東京(H/△0-0)

10節 86回 vs柏(A/○3-1)

2019シーズンの年間平均が137回だったセレッソ大阪。

2020シーズンも開幕から順調に低空飛行を続けていたのだが、過密日程のせいか6節のヴィッセル神戸戦で今季初の二桁(95回)を記録すると、前節の柏レイソル戦ではついに80回台に突入。しかもこの86回のうち1回は、守護神キム・ジンヒョンが今季初めて記録したスプリントだった。

それがどこかというと、おそらくあのシーンだろう。

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たしかに走ってる…。

セレッソ大阪のスプリントの少なさは、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督によって仕込まれたソリッドな4-4-2のシステムに起因している。

セレッソはボールを失うと、4-4のブロックを組みつつ、パスコースを限定しながら相手選手に寄せていく。その際のポジショニングと“奪いどころ”に統制が取れており、チーム全体でそれほど負荷をかけずにボールを奪うことを得意としている。

スプリント回数のデータは試合展開にも大きく左右される。前節の柏戦は、5分にブルーノ・メンデスのゴールで先制できたためペースを落としながら試合を進めることができた。

ただ、1チームがこれだけ抜きん出て少ないというのもデータ的に珍しい。セレッソが選手をそれほどローテーションせずにここまで戦えている理由の一つと言えるかもしれない。

最後に、そんなセレッソの中で誰がスプリントしているのか、出場1分当たりのスプリント回数を割り出してみた。

出場時間が短い選手ほどスプリントは多くなる傾向にあるので、ここまでの10試合、計900分のうち半分以上出場している選手を太字にしている(※括弧内は今季のスプリント回数合計/出場時間)。

■C大阪 2020シーズン・スプリント回数ランキング

1 0.54 FW 高木俊幸(15回/28分)

2 0.47 DF 小池裕太(8回/17分)

3 0.29 DF 片山瑛一(50回/175分)

3 0.29 MF 西川潤(2回/7分)

5 0.26 FW 豊川雄太(58回/226分)

6 0.24 FW 鈴木孝司(22回/93分)

7 0.22 FW 柿谷曜一朗(47回/216分)

8 0.19 DF 丸橋祐介(170回/883分)

9 0.17 DF 松田陸(157回/900分)

10 0.15 FW 都倉賢(47回/322分)

11 0.13 MF 坂元達裕(107回/802分)

12 0.13 FW 奥埜博亮(89回/706分)

13 0.12 FW ブルーノ・メンデス(40回/323分)

14 0.11 DF 瀬古歩夢(62回/540分)

15 0.11 MF 清武弘嗣(74回/702分)

16 0.09 DF 木本恭生(42回/448分)

17 0.09 MF レアンドロ・デサバト(77回/900分)

18 0.08 DF マテイ・ヨニッチ(70回/900分)

19 0.07 MF 藤田直之(55回/769分)

20 0.07 MF ルーカス・ミネイロ(3回/43分)

21 0.00 GK キム・ジンヒョン(1回/900分)

レギュラーと言える選手ではやはり両サイドバックの丸橋と松田が上位。

その上にいる柿谷も216分の出場ながら、チームの中での自分の役目を果たしていることがうかがえる数字だ。

また、ともにフル出場しているデサバト(ボランチ)やヨニッチ(センターバック)を同じポジションの瀬古や藤田と比べると、わずかな違いながらそれぞれのキャラクターや役割が感じられて面白い。

というわけで、今回はスプリント回数に着目して、セレッソ大阪を取り上げてみた。

Jリーグは7月1日、Jリーグ競技パフォーマンスデータの呼称を「J STATS」とすることを発表。

ファン・サポーターやサッカーに関係する多くの人々に、データをより身近に、親しみやすいものになるよう、またデータによる新しいサッカーの楽しみ方の提供や日本サッカーの強化・育成・普及への貢献を目指し、改めて名称が付けられたという。

各種データはJリーグ公式の「成績・データ」で誰でも見ることができる。

トラッキングデータは試合終了の2時間後にはだいたい更新されているので、スタジアムやDAZNで観戦したあと、ぜひデータ的な面でも自分なりの見方でJリーグを楽しんでみてほしい。

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そしてなにより、19日に行われるJ1第11節、川崎フロンターレvsセレッソ大阪は前半戦の大一番。19:00キックオフの試合を見逃すな!

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