豪快で「本物」の漁師飯を 漁師食堂「五島灘」代表 瀬崎繁己さん(62)=五島市福江町=

「この舟盛りを再びいっぱいにしたい」と語る瀬崎さん=五島市、漁師食堂「五島灘」

 色鮮やかな大漁旗が目を引く店内。関東や関西からの団体ツアー客に、長崎県の五島で水揚げされた新鮮な魚を提供してきた。だが旅行自体の中止が相次ぎ、4月以降の利用客はゼロ。生き残りを懸け、クラウドファンディング(CF)で事業継続の資金を募っている。
 2017年に五島ふくえ漁協が運営主体となってオープン。市観光協会事務局長を経験した瀬崎さんが運営を任された。自身が競り人に扮(ふん)する競り体験会が人気を博し、18年度には約4700人の観光客が五島の海の幸を堪能。19年4月に同漁協から独立した。
 時に予約を断るほど「右肩上がり」の業績で、全国の離島から視察も。だが6割は関東、3割は関西からの団体客で、新型コロナ禍の旅行自粛は大打撃をもたらした。今年に入って自身の給与はなく、人件費や固定費ばかりがかさむ。9月20日まで、CFサイト「キャンプファイヤー」で資金を募集中。
 厳しい状況だが、先も見据える。「今までは奇麗に盛り付けすぎたかもしれない。漁師が船上で食べるような、もっと豪快で、本物の漁師飯を出せないか」。客を引きつける新しいアイデアも湧いてきた。キビナゴ、ブリ、ヒラメ、イシダイ…。うまい魚はそろっている。

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