勝負の分け目は「4番VSエースの差」 藪恵壹氏が分析する巨人が阪神に勝ったワケ

巨人・岡本和真【写真:荒川祐史】

阪神OBが解説する、岡本がホームランを打った前の1球

■巨人 1-0 阪神(18日・東京ドーム)

巨人は18日、本拠地での阪神戦に1-0で勝利した。この日はエース・菅野智之投手が今季3度目の完封勝利をマーク。開幕8連勝は1990年に“平成の大エース”斎藤雅樹氏が達成して以来、30年ぶりの快挙となった。阪神の先発、3年目左腕の高橋遥人投手も7回を2安打1失点と好投を披露。引き締まった試合展開に「こういうシビれる投手戦の方が見応えがあって好きですね」と話すのは、阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏だ。

試合前、阪神にとってこの日から始まる巨人、ヤクルト6連戦が重要だと話していた藪氏。首位を走る巨人との差を縮めるためにも、初戦に白星を飾りたかった阪神だが、惜しくも敗れた。では、この手に汗握る投手戦の勝敗を分けたポイントはどこだったのだろうか。藪氏は「4番VSエースの差」にあったと話す。

「まずは岡本(和真)選手の2打席目、ホームランを打った場面です。阪神バッテリーは1打席目、おそらく全球フォークで攻めました。それで空振り三振を取ったので、2打席目もカウント2-2と追い込んだところから2球、フォーク、フォークと続けた。結局、2つ目のフォークを打たれたわけですが、その1球前がポイントだったと思います。内角低めのボールゾーンで本来は空振りするような球を、三塁側にファウルされました。僕はあのファウルで嫌な感じがしましたね。いいところに決まりそうな球が前に飛ばされた。『これは真っ直ぐに変えた方が……』と思ったところで、フォークを投げてど真ん中。岡本選手は逃さず、見事にホームランにしました」

阪神は9回に走者を置いて4番・大山が打席に立つも…

阪神は東京ドームで迎えた開幕シリーズを3連敗した。この時も打線の核として大暴れしたのが岡本だった。

「この3連戦、阪神がやるべきことは絶対に岡本選手を抑え込むことなんですよ。開幕3連戦の時もそうでしたが結局、岡本選手に打たれるんです。そこが徹底できていない。巨人から見たら、エースが投げて4番が打って、理想的な試合になりました。でも、阪神も最後、4番の大山(悠輔)選手がカーンとライトに逆転ホームランを打つというシナリオも残されていた。でも、菅野投手にいい球を放られました。4番とエースの対決。高橋投手もエース級ですから、彼が投げた時には大山選手がなんとかしないといけないと思いますね」

阪神は6回、得点圏に走者を置いた2死二塁の場面でサンズが右翼にライナー性の打球を飛ばしたがアウト。9回にも糸井がフェンス際まで迫る特大の打球を飛ばし、マウンド上の菅野を焦らせたが、ひと伸び足らずに右飛に倒れた。細部を詰め切れない試合展開を振り返ると「負けて当然だった」と藪氏は言う。

「初回に植田(海)選手がウィーラーの打球をお手玉みたいな感じでアウトにしたり、えっと思わせる場面がありました。8回の代打起用の場面も、いつもなら福留(孝介)選手、高山(俊)選手の順番で行くところを、なぜか高山選手、福留選手の順番で使った。いつもと同じでいけばいいところを、東京ドームに行くと作戦まで変わってしまう。ドッシリ構えて戦えばいいと思いますよ」

第2戦の先発は巨人・メルセデス、阪神・ガルシアの外国人対決となる。追う阪神はなんとか1勝返しておきたいところ。第2戦の4番打者の働きにも注目したい。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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