<隠れた名盤>はやぶさ『キンキラKING!』早変わりする曲想ドラマティックに

 1987年生まれのヒカルと1993年生まれのヤマトによる男性デュオの通算13作目。本作で8作連続週間TOP20入りとなる人気だが、彼らの魅力を知らない人も多いのでここで紹介してみたい。

 表題曲は、これで5作目となるアニメ『デュエル・マスターズ』のテーマ曲。5作ともヒャダインこと前山田健一が作詞・作曲・編曲を手掛けているが、彼らしいジェットコースター的なスリリングな楽曲を、たった二人でドラマティックに仕上げていて感心する。

 具体的に説明すると、ゆったりと演歌調で始まったかと思いきや、突然ダンスチューンに早変わり。「気合いだ!(KING!)奇跡を!(KING!)」というコール&レスポンスの部分や、「未来空 飛んでゆけ」と伸びやかに歌う部分など、楽曲内に何か所も聴かせどころがあり、何より無邪気を乗せたようなヒカルの明るい高音と、勇気を乗せたようなヤマトのたくましい低音が、ともに楽曲を華やかにしている。

 初回盤収録の『僕たちには歌がある』は、「正義の心 忘れちゃダメさ」という歌詞や、賑やかなブラス隊の演奏など、もろ昭和のヒーローソング風だが、歌を武器に未来を切り拓くという内容で、こんな風変わりな歌を歌えるのも彼らの強みだ。

 他方、通常盤収録の『大好き!名古屋』は、(名古屋だけに?)なごやかなご当地歌謡曲。ヒカルとヤマトの歌声のコントラストから男女デュエットでも楽しめる。

 本作を聴けば、異なる世代や異なる趣向の人たちの懸け橋となるような元気の源をもらえるはず。

(ビクター・通常盤 1227円+税)=臼井孝

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