
青森県三沢市の岡三沢鹿子(しし)踊り保存会(山崎一男会長)の12人が15日、同市岡三沢3丁目の墓地と、初盆を迎えた岡三沢地区の民家4軒で踊りを披露した。太鼓と笛の囃子(はやし)が響く中、住民は舞を見守り、故人の霊を慰めた。
三沢市史によると、天保の飢饉(ききん)で多くの人が亡くなった際、悪霊がはびこるのを恐れた住民が、鹿子踊りを踊って無縁仏の霊と先祖の霊を慰めた-と伝えられているという。
岡三沢鹿子踊りは1993年、市無形民俗文化財に指定された。保存会は毎年お盆の15日、墓地や民家で舞を披露している。
墓地では踊りの始まる午後3時に合わせて墓参に訪れ、保存会の到着を待つ人の姿も。30人以上が舞を見つめ、花(ご祝儀)をあげる人もいた。同市の会社員柳田美雪さん(40)は「物心ついた時から見ており、お盆だと実感します。今年は祭りがないので、鹿子踊りで夏を感じる人もいるでしょうね」と語った。
昨年10月に義母トキさんを亡くし、保存会の訪問を受けた山本幸子(さちこ)さん(57)は「猛暑の中、踊っていただき、ありがたいと思います」と話していた。