23歳で購入した自宅は「2年でプラス300万円」、不動産投資を始めたきっかけは?

代表的な投資のひとつである「不動産投資」。そのプロとして名を挙げた人は、どのように不動産投資のキャリアを積み上げてきたのでしょうか。今回話を聞いたのは、株式会社アセットビルドの代表取締役である猪俣淳さん。不動産コンサルタントとして知られる猪俣さんは、23歳にして自宅マンションを購入。実はその当時から「投資を意識した」と言います。その後のキャリアにつながるこの時期のエピソードを聞きました。


自宅用マンション購入のきっかけ

――猪俣さんは、23歳で自宅マンションを購入されています。かなり早いと思うのですが、この頃から不動産投資を見据えていたのですか?

厳密には自宅として購入しましたが、投資的な視点も踏まえて買いました。もともと、大学時代に付き合った彼女と卒業後すぐに結婚するつもりでしたが、相手方の父に「早い」と言われて(笑)。それで卒業後に就職し、お金を貯めてすぐにマンションを購入したのです。

――どんな成り行きで物件を選んだのですか?

大学を卒業したのが1984年で、私は不動産売買の企業に就職しました。このとき、義父から「不動産関係なら宅建の資格(※宅地建物取引士)を取得して、貯金も100万円貯めたら結婚していい」と言われて(笑)。それで宅建を勉強して、社会人1年目の10月に受かりました。通勤電車が勉強場所でしたよ。

貯金についても、給料が手取り月15万円ほどで、毎月8万円貯めて1年で約100万円を貯金。そうして結婚したのですが、この100万円を頭金にして1450万円のマンションを買ったのです。

――すごい努力ですね。購入したのはどんなマンションでしたか?

築10年、広さ67平米でした。横浜市住宅供給公社分譲の団地で1万5,000世帯ほどが住むマンモス団地でしたね。もちろん自宅として購入したのですが、自分自身の職業が不動産仲介だったこともあり、このときから“出口”も考えていたのです。

2軒目は2,000万円の利益。出口を考えたからこその成果

――どういうことでしょうか。

立地やマンションの質を見て、数年後に売ることができる、つまり「流動性」があると思ったんですね。住むときに内装を綺麗にリフォームすれば、かけた金額以上上乗せしても買い手がつく物件だというのも知っていましたので。仮にこの物件を賃貸に出したとして、月にいくらほどもらえるかも当然わかりますし。自宅マンションとは言いつつ、出口を含めた投資的な視点も考えて買ったんです。リフォームに150万円かけたので、合計1600万円の“初期費用”でした。

――投資としての目線も入れて住宅を購入したと。その後、実際にどうなりましたか?

1985年に「プラザ合意」があり、金利が下がってバブルを迎えました。自宅マンションの価値は上がり、私の自宅も2年ほど住んだ段階で1,900万円に。そこで売りました。

――2年でプラスになったわけですね!

私はその時点で手放しましたが、4,500万円ほどまで価格は上昇しました。そして私はこのときの売却費用を頭金にして、2,700万円ほどの建売住宅を購入しました。横浜市内の物件で3LDKでした。

――1軒目の売却金を元手に、2軒目を購入ですか。

2軒目の物件は25歳から30歳まで5年ほど住んで売りました。バブルの真っ盛りで、4,700万円ほどで売却。それで、30歳になって今住んでいる土地を見つけて購入したのです。

――2軒目は2,000万円ほどの売却益。

そうですね。バブルの時期は軒並み地価が上がっていましたから、その時に細かく物件を売って良かったと思います。不動産売買の業界に身を置いていたこともあり、最初から出口(売却)を意識して投資目線で自宅を購入したからこそ、そうなったと思いますね。

当時、自宅不動産の値上がりに舞い上がっていた人たちは、結局売らない人がほとんどで、値上がり益を内部に留保したまま利用できずじまいのまま元に戻ってしまったという感じでしたから。

不動産投資を始めたのは「双子の誕生」も関係?

――自宅購入をする場合も、売却や投資を頭に入れておくのが重要かもしれません。ちなみに、ここまではあくまで自宅物件であり、投資の視点を入れつつも、不動産投資家としてはまだ活動していませんよね。どんなきっかけで本格的に投資に踏み出したのですか?

私が不動産投資を始めたのは2000年、39歳の時です。私が不動産仲介の若手営業マンとして働いていた1980-90年代に住宅を買っていただいたお客様の多くは団塊の世代の方たちで、彼らもまだ現役世代まっただ中でした。ただ、だんだんとその世代の方も歳を取り、定年も視野に入ってくると、私との会話の中で、やはり「老後どうしよう」と相談されることが増えてきました。私も自分が年齢を重ねる中で当然、老後を考えるようになり。そこで、不動産投資を始めようと考えたわけです。

――老後の不安ですか。

そうなんです。仕事上、多くのお客さまの家庭を覗かせていただく機会が多い中で、同じような年齢なのに、それぞれすごく差があることが見えてきました。現役で働いている頃から投資用の物件を買って、老後も悠々自適の人がいれば、一方で急に体を壊して収入が途絶える人もいて。揶揄ではなく本当に天と地ほどの差がつきます。

しかも、人生は何が起きるかわかりません。私だって、23歳で結婚したのに10年以上子どもができず、「このまま一生、夫婦2人で暮らすんだなぁ……贅沢しちゃえ」と大枚はたいて新車のジープを買ったら、いきなり双子ができた(笑)。逆算したら、子どもが大学出る頃に私も定年を迎えると考えると、これはなんとかしなきゃと思いまして。

――それで本格的に不動産投資を行うわけですね。

はい。みなさん不動産投資というと「大変そう」「リスクが高そう」と身構えますが、実は不動産投資自体は古くから親しまれている投資法です。昔の人は、むしろ今より不動産投資を行っていた。年金制度が今ほど整備されていなかったので、退職金で小さな借家やアパートを買って家賃収入を老後の足しにするというのは割とポピュラーなやり方だったんですね。その後、年金制度が整備され、同時に土地の価格が上がり始めるとともに、いつしか「忘れられた投資」になった。2000年頃から埃をかぶったこの投資にまた光があたるようになって今に至るわけですが、不動産投資は手法が確立しており、きちんとルールを学んで取り組めば、決して恐れるものでもないのです。

猪俣さんが本格的な投資家となってからのエピソードは、次回伺います。

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