Uber Eatsなどで注目の自由な働き方“ギグ・エコノミー”の問題点

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。8月10日(月・祝)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、著述家の北条かやさんが“ギグ・エコノミー”について述べました。

◆Uber Eatsの仕組みとは?

食事宅配サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が、配送料の定額制を導入。月額980円を支払うと1,200円を超える注文の配送料がかからなくなり、概ね月4回の利用で元が取れるということです。

このサービスは「結構お得」と話す反面、「Uber Eatsはずっと赤字、これでまた赤字が増えるのではないか」と心配する北条さん。現状ではコロナ禍で外食を控える人が多く、食事宅配サービス業界は右肩上がり。そのなかでUber Eatsは、アメリカの本社が上場以来赤字続きであるものの、デリバリー部門だけは売上がおよそ2倍に。しかし、その背景には配達員の問題があると言います。

Uber Eatsの仕組みは、利用者が専用アプリに登録された飲食店に注文し、それを配達パートナーとして登録している一般人が届けます。そのなかで利用者と飲食店から手数料を徴収しているため、Uber Eats側は従業員や店舗を抱えることなく、「アプリ上で飲食店と利用者、配達員をマッチングさせる画期的な仕組み」と北条さんは解説。

配達員もアプリに登録し、マニュアルを読めばすぐに働くことができ、なおかつ自由に働けるため、コロナ禍の「4~5月でかなり増えた印象がある」と北条さん。また、報酬も1軒につき数百円で、時給に換算すると一般的に1,000~2,000円程度の人が多いようで、早く配達するとインセンティブやチップがあるほか、混雑時間には賃金が上がる仕組みもあります。

◆増加するギグ・エコノミーの問題点

こういった企業に雇用されることなく、アプリを通じて単発の仕事を自由に請け負う働き方を「ギグ・エコノミー」と言い、アメリカではすでに4割程度の労働者がこれにあたると言われています。

そのメリットはとにかく自由で、報酬も自分の頑張り次第。逆にデメリットは社会保障が全くないこと。

そこで、あくまでフリーランスであるギグ・エコノミーをどう守っていくか議論になり、Uber Eatsは2019年10月に配達員を対象にした保険制度を導入。労災はおりないものの、自社でカバーする形に。

また、日本政府も今年6月に委員会を設置し、フリーランスも労災を受けられるよう制度を緩和していこうと議事録上はなっているものの、「新しい制度ができたわけではなく、まだまだフリーランス、ギグ・エコノミーの立場は弱い」と北条さん。現在は民間任せの部分もあるそうで、「今後こういった流れは加速していく」と主張します。

了徳寺大学 客員教授の網屋信介さんは、過去に宅配便のドライバーも待遇問題が提起され、料金が値上げになっただけに、Uber Eatsの配達員に関しても「同じことが起こるんじゃないか」と推測。北条さんも「ある程度のコストをかけないと良いサービスが受けられない」と同意しつつ、Uber Eats側は配達員の賃金がコストだと考え、アメリカではすでに自動配達装置を一部導入していると説明。

これには網屋さんも「ビジネスモデル上、配達員の賃金を抑えるしか利益を出すところがない」と納得の様子。それだけに現状としては配達員の稼働量を増やそうとする傍ら、「サービスが低下する問題が出てきている」と北条さんは懸念していました。

番組では、視聴者に「『Uber Eats』などの食事宅配サービスを利用したことがありますか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆「Uber Eats」などの食事宅配サービスを利用したことがありますか?
ある……342票
ない……1,923票
サービスがわからない……156票

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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