長崎大(長崎市)と同市内の広告代理店アジャストは20日、新型コロナウイルスの接触感染を防ごうと、スマートフォンで現金自動預払機(ATM)を操作できるシステムの共同研究を始めたと発表した。自動販売機や券売機などへの応用も可能で、試作品を開発、特許を出願した。早期の実用化を目指している。
同システムは、近距離無線通信「ブルートゥース」を活用してATMとスマホを接続する。取得した銀行IDを入力して、スマホ上にATMの操作パネルを表示。通帳やカードをATMに挿入した後、スマホ上で暗証番号や金額を入力して現金を出し入れする。
ATMに通信機能と処理ソフトウエアを追加するだけなので設備投資も低く抑えられるという。また一つのスマホアプリで異なる銀行のATMや自販機などに対応できるという。
試作品は、スマホと各ATMを直接接続する方法とクラウドサーバーを通じて接続する2種類がある。
発案はアジャストの太田伸二エグゼクティブプロデューサー。コロナ禍の中、不特定多数の人が使うATMに触れずにスマホで操作できないかと、長崎大情報データ科学部の小林透教授に提案した。共同研究は6月末にスタート。小林研究室の工学部4年、室之園崇さん(21)と熊本紘一さん(22)が開発した。
セキュリティーの確保が課題で今後、安全性を検証する。同大で会見した太田さんは「年内に実用化を図りたい」と意欲を語り、小林教授は「コロナは社会的な問題。安心安全な社会をつくっていきたい」と述べた。
スマホでATM操作 接触感染を防ぐ 長崎大と広告代理店がシステム共同研究
- Published
- 2020/08/20 23:33 (JST)
- Updated
- 2020/08/21 23:43 (JST)
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