中澤まさとも◆「江口くんも浅沼さんも頼れる方たちなので、収録では緊張しませんでした!」江口拓也◆「浅沼さんは本人が才能の塊」浅沼晋太郎◆「中澤くんにはとにかく包容力があります」

音楽を通して心を通わせていく若者たちの青春群像劇を描き、2019年に放送されたTVシリーズ「ギヴン」。主に真冬(矢野奨吾)と立夏(内田雄馬)の恋愛模様が描かれ話題となったが、その続編となる「映画 ギヴン」が、公開延期を経てついに8月22日より公開される。映画のメインキャストである中澤まさとも、江口拓也、浅沼晋太郎に心境や収録現場の裏話、見どころを語ってもらった。

――「映画 ギヴン」のストーリーは、お三方が演じる春樹(中澤)、秋彦(江口)、雨月(浅沼)を中心に描かれます。それを聞いた時はいかがでしたか?

江口 「純粋に、“そこまで描くんだ!”とうれしかったです。真冬と立夏による高校生の恋愛とは少し離れたところにある、大人の恋愛模様が楽しみだと感じました」

中澤 「僕は、驚いたと同時にちょっと緊張しました。『ギヴン』では“声優人生初”の経験をさせていただくことが多くて…。でも、江口くんも浅沼さんも頼れる方たちなので、収録では緊張しませんでした!」

浅沼 「雨月はTVでの登場回数が少なかったのですが、映画では初めて予告のナレーションを読ませていただいたんです。メインどころなのだと実感したと同時に制作陣の気合を感じて、僕も最初はなかなか緊張しました(笑)」

――TVを経て、春樹、秋彦、雨月は徐々に変わっていきます。やはり、真冬の存在は大きいですよね。

中澤 「TVでは、バンドメンバーのお世話役みたいな立場だった春樹が真冬の才能に気付き、真冬の歌に影響を受けて、それまで目を背けていた自分の気持ちがどんどん大きくなっていく姿が描かれました。それに、真冬の急成長ぶりに焦りを感じてコンプレックスも生まれていきました。映画でも相変わらず振り回される役どころですけれど(笑)、自分の感情が相まって、キャラクターの振り幅が非常に大きくなっていますね」

浅沼 「雨月は天才バイオリニストで、天才だからこそ音楽以外のものにあまり目が向かないのですが、TVの時点で真冬というもう1人の天才の歌に触れ興味を持つようになっています。掴みどころのない雨月が、ストレートに思いを告げる真冬と接することでさらに変わっていくので、映画ではそこも見どころの一つだと思います!」

江口 「秋彦の変化は、どちらかというと映画からかもしれません。TVではめちゃくちゃ要領の良い男に見えるのですが、映画では自分に深く関わる問題に直面した途端、要領が悪くなるという変化を感じたので…。そこにいるのは、不器用な等身大の秋彦。映画の収録は、今までの秋彦をいい意味でうまくぶち壊せたらと思いながら挑みました」

――では、TVと映画の収録を経て、現場での皆さんの関係性に変化はありましたか?

浅沼 「その変化はあまりないよね?」

江口 「TVと映画、それぞれ見せ方は違いますけれど、僕たちがやることは変わらないですからね。でも、映画ではよりリラックスして楽しく収録できたかもしれません。良いもの作りができたという実感があります。あと…差し入れのたい焼きがおいしかったという思い出も!」

中澤 「そうそう! おいしかったね」

浅沼「それから、(原作者の)キヅナツキ先生が買ってきてくださるお菓子もおいしかったな」

中澤 「そうでした、そうでした。…このままだと、差し入れがおいしかったという裏話がメインになりますね(笑)」

浅沼 「それはダメかも(笑)」

――では、現場でお互いに才能を感じた瞬間はありますか?

浅沼 「中澤くんにはとにかく包容力があります。春樹もそういうところがあるので、この3人の中で一番演じているキャラクターに近いのかもしれません。何をしても温かく包み込んでくれるので、“困らせてみたい”“甘えたい”と思ってしまいますね」

中澤 「そう思ってもらえていたとは! うれしいです」

浅沼 「僕はBL作品への出演が初めてだったのですが、雨月のお相手である秋彦を演じるのが江口くんだと知った時はめちゃくちゃホッとしました。江口くんもまた、確かなお芝居で安心感を与えてくれる存在ですからね」

江口 「そういう浅沼さんは本人が才能の塊なので、雨月というキャラクターを演じる時の“天才のまとい方”がすごいといつも感じていました。僕、“もし自分が他のキャラクターを担当していたら、どう演じるかな”と考えることがあるのですが、雨月の解釈には本当に驚かされました」

中澤 「そう! 浅沼さんの雨月は存在感が違うんです。静かにオーラを放っている感じが、本当にカッコいいです」

――映画を見るのがますます楽しみになりました。

中澤 「真冬の歌を聴いた3人が、どんな風にお互いへの思いをあらわにしていくのか、とても自然に物語が紡がれていくと思います。ぜひ楽しんでもらいたいです」

浅沼 「高校生の時は失うものがないから、恋愛でも後先考えず真っすぐに思いを伝えられたりもするけれど、大人になり経験を重ねると劣等感やコンプレックスなんかを知り、人と距離をとって接することを覚えてしまいます。そうすると、恋愛の形も自然と変わってきますよね。いろんな作品で『大人になっちゃった』というセリフを目にすることがありますが、『映画 ギヴン』ではまさに“大人になっちゃった”3人の恋愛が描かれているように思います」

江口 「そうですね。TVと比べて、恋愛のテイストが変わっています。“人間って面倒くさいな、複雑だな”と思うこともありますが、そういうところ全部ひっくるめて“人間っていいな”と思わせてくれる作品です。ぜひご覧いただきたいです!」

【プロフィール】

中澤まさとも(なかざわ まさとも)
2月14日、東京都生まれ。水瓶座。O型。アニメ「ハイキュー!!」シリーズ(14年~)、「DRAMAtical Murder」(14年)、「狐狸之声」、劇場版「フリクリ プログレ」(ともに18年)などに出演。アニメ「巨人族の花嫁」(TOKYO MXほか)に出演中。

江口拓也(えぐち たくや)
5月22日、東京都生まれ。双子座。B型。アニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」(TBSほか)、「フルーツバスケット」(テレビ東京ほか)に出演中。「転生したらスライムだった件」第2期が21年1月より放送。

浅沼晋太郎(あさぬま しんたろう)
1月5日、岩手県生まれ。山羊座。O型。アニメ「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」(TOKYO MXほか)が10月2日スタート。「劇場版 生徒会役員共2」が21年1月1日公開。

【作品情報】

「映画 ギヴン」
8月22日全国ロードショー

キヅナツキによるBL漫画のアニメ映画。高校生の真冬(矢野)と立夏(内田)、大学院生の春樹(中澤)、大学生の秋彦(江口)からなるバンド「ギヴン」が活動する中、真冬と立夏は付き合うことに。一方、春樹が長年好意を抱き続けている秋彦は、同居人の雨月(浅沼)との関係を続けていて…。

取材・文/松本まゆげ 撮影/Marco Perboni スタイリング/ヨシダミホ[浅沼]

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