口腔ケア、コロナのリスク減 熊本県歯科医師会、定期受診で歯周病対策訴え

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ゴーグルやマスク、手袋など感染防止対策を万全にして診療に当たる伊藤明彦院長(左)=合志市

 新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の受診控えが顕在化する中、熊本県歯科医師会は歯周病の進行などが全身の健康リスクにつながるとして、定期的な受診を呼び掛けている。口の中を清潔に保つことで新型コロナの感染リスク低減や重篤化を防ぐ可能性も指摘されており、適切な口腔[こうくう]ケアの重要性を訴える。

 「唾液にウイルスが含まれているという前提で対策し、診療している」。伊藤歯科医院(合志市)の伊藤明彦院長は、マスクやゴーグル、手袋などの完全装備で患者の診療に当たりながら、感染対策の徹底を強調する。

 県歯科医師会長も務める伊藤院長が言う対策とは「スタンダードプリコーション(標準予防策)」。全ての人の血液、体液、汗以外の分泌物、損傷のある皮膚、粘膜には感染性があるという考えを基本に、歯科医院ではコロナ以前から予防策を実施している。

 ただ、感染の自覚がない患者から歯科医らに感染するリスクが逆に捉えられ、受診控えが拡大。県保険医協会が5月上旬までに実施したアンケートでは、県内の歯科開業医の92%が「外来患者が減った」と回答した。

 受診控えで懸念されるのが「口の中の健康」だ。成人の8割がかかるといわれている歯周病はさまざまな病気とかかわっており、歯周病対策を怠ると、ほかの病気を引き起こしかねない。

 例えば、高齢者に多い誤嚥[ごえん]性肺炎は、食べ物や唾液に含まれる口の中の細菌が肺に流れ込むことで起こる病気。ほかにも歯周病は心臓病や脳梗塞、糖尿病悪化のリスクを高めることが分かっている。

 しっかりかむことで食事の栄養を十分摂れ、唾液が出やすくなり、免疫力も高める。「口の中を清潔に保つことが全ての健康につながる」といわれる由縁だ。

 また、口腔ケアがインフルエンザの発症率を10分の1に低減させたとの報告があり、コロナウイルスも同様に感染リスクが低くなる可能性が指摘されている。

 コロナは既に「第2波」との認識も示されており、「第2波、第3波に備え、かかりつけ歯科医と相談しながら口腔ケアを徹底してほしい」と伊藤院長。歯周病が軽度の人は4~6カ月に1回、中度、重度の人は毎月1回の受診を勧める。(福井一基)