島へ移住した若者、養殖業に奮闘 新上五島 アワビなど育成

本土から移住し養殖業で奮闘する、(右から)松田さん、嬉里さん、馬場さん=新上五島町、豊建設の養殖場

 新上五島町阿瀬津郷にある豊建設(同町)の養殖場で、島外から移住した若者が奮闘している。暮らしやすい環境や自身の成長を求める3人。出荷量は少しずつ増加、「早く採算に乗せたい」と意気込みを語る。
 3人は長崎市出身の松田晋作さん(28)、西彼長与町出身の嬉里翼さん(27)、横浜市出身の馬場優也さん(25)。同社が2018年3月に始めた新規事業の求人に手を挙げ、同年移り住んだ。養殖場は計約400平方メートルの広さで、クエやアワビなどを育てている。
 まとめ役の松田さんは妻の出身地という縁があり、子育てで義父母のサポートも受けられるため移住。養殖業は初めてで他の業者に成育方法を学んでいる。「店もあるし、生活に困らない。自分たちの手で大きく育て出荷したい」と語る。
 嬉里さんは、高校の先輩である松田さんの誘いで島暮らしを始めた。生き物が好きで養殖業に関心を持った。クエの餌やりや水温管理を担当。「細かな変化を見逃さないよう心掛けている。計画通りに仕事が進むとやりがいを感じる」
 馬場さんは「対人関係が苦手で、親元を離れ何かを変えたかった」という。1人暮らしにも慣れ、町内の蛤浜海水浴場など島の絶景も楽しむ。「ポンプの作動音など小さな変化に気付くようになった」と、自身の成長を感じている様子だ。
 これまでにアワビなどを新上五島町内の飲食店やホテルに出荷。養殖業について3人に助言する同社のオブザーバー、浜崎哲也さん(63)は「若者が島に来てくれたことにまず感謝している。独り立ちすることを期待したい」と話した。
 3人は毎年夏、養殖業に関心を持ってもらうため家族向けの養殖場の見学会を開催。餌やりやウニの殻を使った工作の体験などができる。見学会は予約制で今年は31日まで。町観光物産協会で予約を受け付ける。同協会(電0959.42.5005)。

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