米津玄師"Lemon"カメラマン 監督に 今村さん初の映画作品公開

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「カメラマンとして、新たな挑戦を続けたい」と話す今村さん=東京都渋谷区

 富山市八尾地域出身のカメラマン、今村圭佑さん(31)の初監督作品「燕(つばめ) Yan(イエン)」が全国で公開されている。今年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞に輝いた「新聞記者」や米津玄師(けんし)のミュージックビデオ「Lemon(レモン)」などの撮影を手掛けるなど注目を集めてきた。都内で取材に応じた今村さんは「さまざまな映像表現に、どんどん挑みたい」と意欲を語った。(楠浩介)

 映画は日本人の父(平田満)と台湾人の母(一青窈)の間に生まれた早川燕(水間ロン)が主人公。5歳の時、兄(山中崇)だけを連れて台湾・高雄に戻った母に対し、複雑な思いを抱いてきた。生き別れとなった兄に再会する中で、自身のアイデンティティーを見つめ変化していく姿を繊細に描く。大半のシーンを台湾で撮影した。

 都内や関西の劇場で6月から上映が始まった。取材を受けたり、観客と語り合ったりする中で、映画の感想を直接聞くことができた。「自分が思ってもいなかった伝わり方もしていて、この作品が持つ意味を考えさせられた。映画の力を実感しているし、上映が続いていることはうれしい」

■ゼロから吸収  八尾高校に通っていた頃、富山市総曲輪にあったミニシアターで時々邦画を見た。映画には興味があったが「映画を作りたい」とまでは思っていなかった。それでも「運動会とか文化祭とか、みんなで何かを作り上げるのは好きだった。映画作りも近いのかなと思った」。卒業後、日本大芸術学部映画学科の撮影・録音コースに進んだ。

 「高い学費を払うからには、将来は映画関連の仕事に就かなくてはいけない」と考え、在学中は自主映画の制作に打ち込んだ。「高校時代まで芸術的要素は全くなかった」と笑うが「ゼロから吸収できて逆に良かったのかも」と言う。

 卒業後はカメラマンとして活動。近年は「新聞記者」をはじめ、俳優の山田孝之がプロデュースした「デイアンドナイト」や新田真剣佑、北村匠海のダブル主演で話題となった「サヨナラまでの30分」などの映画で撮影監督を務めてきた。

■いつか富山で  新しい映像との関わり方を模索していた時、プロデューサーから監督の依頼を受けた。「監督という立場を経験することで、カメラマンとして得るものがあるかもしれない」と撮影も兼ねて引き受けた。

 カメラを回している間、監督の立場でいろいろ考えると、いい瞬間を逃してしまう。撮影中はカメラに集中し、その前後に監督の視点で客観的に考えるようにした。「1人で2役をこなす限界はあるけれど、ワンマンでやる面白さ、メリットを出せるよう取り組んだ」と振り返る。

 作品は富山市総曲輪のミニシアター「ほとり座」で、9月19~25日に上映される予定だ。今村さんは「古里・富山の皆さんに見てもらえるのは本当にうれしい。いつか地元で撮れるものがあればいいし、何らかの形で恩返しをしたい」と話した。

◆いまむら・けいすけ◆  1988年、富山市八尾町福島生まれ。日本大芸術学部映画学科卒。主に映画やテレビCM、ミュージックビデオなどのカメラマンとして活動。撮影を担当した映画「約束のネバーランド」が12月に公開予定。