「模擬投票が効果あるんだったら、今頃みんな選挙行ってますよ?」お笑いジャーナリストたかまつなな氏インタビュー

お笑いジャーナリスト「たかまつなな」氏をご存知だろうか。お嬢様芸人、お笑いジャーナリスト、株式会社笑下村塾取締役、YouTuberとして活躍中の27歳。コントや舞台で社会問題を取り上げ、選挙のたびに投票率を上げようと奔走し、そのたびに批判を浴びたり炎上したり、昔のファンに「お嬢様ネタをやっているたかまつさんの方が好きだった」と言われたりする。活動を続けるのは「しんどい」。活動存続のためにクラウドファンディングを実施している。ボロボロになりながらも社会問題について発信を続けるたかまつ氏を突き動かすものは一体何なのだろうか。選挙ドットコム編集部がインタビューを行った。

笑ってもらって終わり、の芸人時代とは変わった

-選挙ドットコム編集部 横尾(以下、横尾):多種多様な肩書きをお持ちのたかまつさんですが、「お笑いジャーナリスト」とは、一体どのようなお仕事なのでしょうか。

提供:笑下村塾

-たかまつなな氏(以下、たかまつ氏):一般的なジャーナリストと異なる私の強みとして、社会問題について論じる上で、「お笑い」で敷居を下げられることがあります。今ではお笑いは私の伝えたいことを伝える1つの手段ですね。「ジャーナリスト」として、分からないことがあるから現場に行って取材をするということも大事にしています。

-横尾:芸人時代と“ネタ”の作り方は変わってきたのでしょうか?

-たかまつ氏:はい。社会的なメッセージ性が強くなりました。ただ笑わせればよかったお嬢様ネタをやっていた時とは違いますね……。今は笑ってもらって終わりではなくて、観ていただいた方の価値観を変えられるネタ作りをしています。「前のたかまつさんの方が好きだった」と言われたりもしますが、どう変化しても賛否両論はあるものなので仕方ないですね。

形だけの模擬投票に意味はない。主権者教育に必要なのは「実感」

-横尾:株式会社笑下村塾としてはどのような活動をされているのでしょうか?

-たかまつ氏:若者に社会問題について当事者意識を持ってもらい、政治との距離を縮めるための活動をしています。今は新型コロナウイルスの影響でなかなか現場に赴くことも難しいのですが、若者の主権者教育に注力しています。ちなみに、私はNHKの社員と並行して笑下村塾の活動を行っていたのですが、どちらかを選ばなければならない状況になり、笑下村塾を選んでNHKを退社しました。

提供:笑下村塾

-横尾:他の団体等が行う主権者教育と、笑下村塾が行う主権者教育の違いとは何でしょうか?

-たかまつ氏:形だけで終わらない、「自分たちが損をしているから選挙に行こう」という実感を持ってもらえるようなプログラムを作っています。「主権者教育」として今までなされてきたことの1つに模擬投票がありますが、あれだと結局自分たちの手でお金やルールを変えられるという実感が持てないと思うんですね。形だけの模擬投票で主権者教育としての効果があるんだったら、そもそも生徒会の選挙だけやってれば今頃みんな選挙に行っていると思いませんか?

-横尾:確かに、私は高校時代に生徒会長でしたが、実際に何かを変えられたという感じはあまりありませんでした……。

-たかまつ氏:あとは政治と教育を切り離すという意識が強まりすぎたこと、そもそも教えるのが難しすぎて学校教育だけではキャパオーバー、等もあって主権者教育が今まで進んでこなかったのだと思います。笑下村塾単位でなく、私個人としてもメディアの力を求めてNHKに入社したり、YouTubeを始めてみたり、試行を繰り返しています。

たかまつななチャンネル

ニュースを身近に 時事YouTuberのたかまつななです。 お笑いジャーナリストとして 社会風刺ネタをしたり 現地に取材に行ったりしています。 チャンネル登録者数5万人目指して頑張っています。 ぜひ登録してください。

-横尾:政治や社会問題に興味のない層を引き入れるにはどのようなアプローチが効果的だと思いますか?

-たかまつ氏:「政治って何?」「民主主義って何?」というところから始まり、シルバー民主主義のこと等を通じて「あなたが行動しないと損するよ」という訴えかけをしています。実際にこのやり方が最も効果がありました。本当は「あなたが行動したら得するよ」というアプローチが理想的なんですけどね。

10年後のために、今情報発信を止めたらいけないんです

-横尾:たかまつさんは、10年後の世の中がどうなっていてほしいと考えていますか?

-たかまつ氏:みんなが社会問題に当事者意識を持っていて、みんなが問題解決に奔走していてほしいです。私がボロボロになっても活動を続けられるのは、しんどい思いをする中で日々誰かから感謝の声をいただくからなんですよね。やっぱり「ありがとう」って言われるのは嬉しいです。問題を解決して、困っている人から感謝されて、そしたらみんなハッピー!という好循環を起こせればいいですね。

提供:笑下村塾

そのために私としてはお笑いで敷居を下げたアプローチを続け、同時にメディアとしての影響力を持ちたいです。若者向けの政策を打つならたかまつななチャンネルに絡まなきゃ、とか、シルバー民主主義に物申したいならたかまつななだ、とか。

そのためには苦しい今こそ情報発信を続けなければいけないんです。YouTube活動のためのクラウドファンディングにぜひ協力をお願いします!

社会問題を解決するYouTube番組を作りたい!

■ご挨拶 ごきげんよう。お笑いジャーナリストの「たかまつなな」です。 この度、 NHKを辞め、 時事 YouTuber になります。そして、「社会問題解決型」の番組を作っていきます。  私は4年ほど前に、「笑いで世直し」をコンセプトに、笑下村塾という会社を作り、全国の学校に「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ …

社会問題を解決するYouTube番組を作りたい!

-横尾:クラウドファンディング、応援しています!本日はありがとうございました。


 

**たかまつなな氏プロフィール

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お嬢様芸人/お笑いジャーナリスト
株式会社 笑下村塾 (しょうかそんじゅく)取締役
フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、テレビ・舞台で活動する傍ら、お笑いジャーナリストとして、お笑いを通して社会問題を発信している。
18歳選挙権を機に、若者と政治の距離を縮めるために、株式会社笑下村塾を設立。
「笑える!政治教育ショー」を開発し、全国に出張授業を行う。
YouTubeチャンネル「たかまつななチャンネル」では8.28万人(2020.8.17現在)のチャンネル登録数を誇る。

(構成・執筆協力 ひがしみすず @misuzu_higashi)

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