佐賀・唐津沖に風力発電計画 大阪ガス「長崎にも丁寧に説明」 平戸沖事業と想定海域が一部重複

洋上風力発電事業の想定海域

 大阪ガス(大阪市)などが佐賀県唐津市沖で大規模な洋上風力発電事業を計画している。最高260メートルの風車を最大75基設置する構想。別の事業者が平戸市沖で推進する想定海域と一部が重なっている。
 大阪ガスが洋上風力発電に乗り出すのは初めて。再生可能エネルギー発電所の開発を手掛けるアカシア・リニューアブルズ(東京)と共同で実施する。想定海域は佐賀県寄りだが、大阪ガスは「長崎県内の自治体や漁協にも丁寧に説明していく」としている。
 大阪ガスによると、想定海域は唐津市馬渡(まだら)島を取り囲む約1万3千ヘクタール。総出力は最大60万キロワット。風車1基当たり8千~1万2千キロワットで、8千キロワットの場合は75基となる。基礎部分を海底に固定する「着床式」を採用する方針。
 環境影響評価(アセスメント)の手続き中。7月末に計画段階環境配慮書を経済産業相と佐賀、長崎両県知事、唐津、松浦、壱岐、平戸の4市長、佐賀県玄海町長に送付した。9月2日まで関係自治体庁舎で縦覧できる。
 一方、平戸市的山大島から唐津市馬渡島にかけての約1万9500ヘクタールの海域では、再エネ主力発電化推進機構洋上平戸発電合同会社(東京)が事業化を計画。総出力は最大61万7500キロワットで、環境アセスの次段階の方法書作成に進んでいる。同社は再生可能エネルギー事業を展開するINFLUX(東京)の100%子会社。
 資源エネルギー庁によると、洋上風力発電事業は、国が地元自治体や漁協などの意見を聞いて整備促進区域を指定し、公募で事業者を選定する。県内では五島市沖が指定され公募を開始。西海市江島沖が有望区域に選ばれている。唐津市沖や平戸市沖は手続きが始まっていない。

 


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