明るくなったベンチ、早めの継投…専門家が感じたオリ中嶋監督代行の“カラー”とは?

オリックス・中島聡監督代行【写真:荒川祐史】

楽天でヘッドコーチを務めた松本匡史氏が見た新しいカラー

■オリックス 5-2 西武(22日・京セラドーム)

オリックスが西武を5-2で下し、中嶋聡監督代行就任後、2連勝を飾った。前日に続き、この日もジョーンズが2試合連続本塁打となる7号3ランと8号ソロ。2打席連続本塁打で4打点を挙げ、監督交代のショックをはねのけた。中嶋監督代行の采配について、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は「早め早めに交代させる采配」「現役時代苦労している分、厳しい監督になると思う」と印象を語った。

“中嶋カラー”が垣間見えた試合だった。この日の4番は前日に続き、プロ2年目の中川。右翼には、前日1軍に昇格させた5年目の杉本を2日続けて起用するなど、選手交代でも特色を出した。3-0で迎えた6回には2番手沢田が2死から西武中村に1発を浴びると、続くスパンジェンバーグのところで左の斎藤を投入。7回からは、この日2本塁打のジョーンズを下げ、早々と守備固めで小田を起用した。4-2と2点差に追い上げられた7回2死一、二塁のピンチでは、山田に代え、セットアッパーのヒギンスを投入。イニングをまたがせ、8回のマウンドも任せた。

松本氏はこう分析する。「もう1打席回ってくる可能性がありながら、終盤、流れがどうなるか分からない中で、ジョーンズを9回の守備からではなく、7回の守備から代えた。投手陣も早め早めに交代させる采配をとっていた。いい悪いは別にして、結果的に勝てたのは代え時が良かったのかな。当たっているジョーンズではなく、中川を4番に起用しているのも監督の意向なのでしょう」。

また、ベンチの様子からも変化を感じたという。「声が出ていて雰囲気がいい。辻(竜太郎)打撃コーチも監督の前でよく声を出していた。選手も暗い感じではなかった。選手たちは、自分たちが勝てない試合をやっているから監督が代わった訳で、責任は感じているはずです」。そんな思いが、選手たちの行動にも表れていた。

4番に中川、2軍で見てきた杉本らを積極起用

中嶋監督代行は現役時代、捕手として阪急、オリックス、西武、横浜、日本ハムで計29年間プレーし、46歳で引退した。捕手出身選手としてタクトを握る新指揮官について、松本氏はこう印象を語る。

「技術ではなく、捕手として頭で考えることで長く現役を続けてきた人なので、野球自体をよく理解しているし、苦労している分、シビアでもあると思う。引き出しはたくさんあると思うので、これからそれをどう生かしていくか。若い選手をどんどん使って、ダメなら入れ替えると言っていたが、厳しい監督になると思う。監督が代われば野球のやり方も変わるので、選手は対応していかなければいけない」。

そして、松本氏は、打線を組み替え、若手の中川や杉本を起用したことにも注目する。中川はここまで2試合続けてヒットがなく、杉本も前日の詰まった右安打の1本だけ。それだけに「今後、中川や杉本が結果が出なかった時に、彼らを使い続けるのか、それとも外すのか。どういう形になるのか、見ていけば分かると思う」と話す。若手を育成しながら最下位脱出を目指すオリックス。その選手起用も見ものだ。

この日はジョーンズの2打席連続本塁打で連勝をつかんだ。打ったのはいずれも内海がストライクを取りにきた初球のやや低めの球だった。松本氏は「低めはジョーンズにとって得意ではないコース。これまでは、ストライクからボールになる球に手を出してしまい、凡打になっていたが、それを見極められるようになって、当たりが出てきた。打てるコース、打てないコースは紙一重だが、今日打った球は打てないコースよりも少し上。相手がストライクゾーンで勝負してくれると、スタンドまで持っていく力はある」と解説する。

そして、指揮官が捕手出身の中嶋監督代行になったことで、配球面の考え方など、打者にとってプラスに働く可能性も秘めている。ここまで55試合を終え、18勝33敗4分とリーグ最下位に低迷するオリックス。監督交代というフロントが振るった大ナタがチームにどう影響を及ぼすのか。中嶋監督代行の今後の手腕に注目が集まる。(Full-Count編集部)

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