布マスクとエコバッグ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクが日常生活に欠かせないものになったという表れだろう。時折、道端に落ちているマスクを見掛けるようになった。ほとんどは不織布でできた大量生産の品だ▲不織布の原材料には、プラスチックの一種、ポリプロピレンなどが使われている。洗って繰り返し使うこともできるが、けば立ってくるので、使い続けるには限界があるのだろう▲マスクと同じように、最近はエコバッグを手にする人も増えている。コンビニなどのレジ袋が、先月から有料になったからだ。コンビニ大手3社の調べによれば、レジ袋を辞退する人の割合は75%に上ったという▲海洋汚染をもたらすプラスチックの使い捨てが少しでも減ることが望まれる。しかし他方ではコロナ禍で、日々使い捨てられるプラスチック類が加わってしまったようだ▲不織布のマスクが一時品薄になったのをきっかけに、布マスクの製造に取り組む企業が相次いだ。自ら作る動きも広まった。ウイルスのフィルター効果では不織布に劣るとされるが、素材やデザインも豊富になった▲先日、カラフルな花柄の布マスクを着けたタクシーの運転手さんを見掛けた。家族の手作りだろうか。立派な「おじさん」世代の顔には少々不釣り合いだったが、どこかほほ笑ましかった。(明)

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