最下位広島の逆襲はここから? 専門家が解説する巨人戦3連勝を可能にした岡本封じ

広島・遠藤淳志【写真:荒川祐史】

巨人で長年スコアラーとしてセ・リーグを分析してきた三井康浩氏

■広島 2-1 巨人(23日・マツダスタジアム)

セ・リーグ最下位を低迷している広島が23日、本拠地・マツダスタジアムで行われた巨人戦に2-1で競り勝ち、首位のチームを相手に今季初の同一カード3連勝。勝因の1つは、本塁打王争いで独走中の岡本を、ほぼ完璧に抑え込んだことだ。かつて巨人のチーフスコアラーなどを歴任し、他球団を分析してきた三井康浩氏がこの3連戦の勝負のポイントを紐解いた。

広島の先発はプロ3年目・21歳にして、今季2勝2敗、防御率3点台と安定している遠藤。この日は岡本を、1回1死一、三塁の先制機で打席に迎えたが、初球の116キロのカーブを打たせて二飛に仕留め、犠飛さえ許さなかった。3回2死二塁の第2打席も、カウント2-1からカーブで泳がせ、当たり損ないの一ゴロ。6回先頭での第3打席も、三たびカーブを打たせて二ゴロに切って取った。遠藤は白星こそ付かなかったが、7回120球を投げ、坂本の適時二塁打による1失点に抑える粘投。8回の坂倉の代打決勝ソロにつなげ、勝利の原動力となった。

岡本は18本塁打を量産し広島・鈴木誠に5本差をつけてセ・リーグ断トツ。45打点もヤクルト・村上と並びリーグトップに立っている。三井氏は「成長著しい岡本だが、緩急をつけられるとまだしんどいところがある。その点、この日の遠藤は140キロの速球を見せておいて、110キロ台のカーブ勝負が有効だった」と指摘。一方で「ああいう攻めができたのも、遠藤にいいカーブがあったからこそ。ストレートと球速差の小さいスライダーであれば、岡本がとらえていた可能性が高い」とも付け加えた。

カープ復活は?「点は取れる布陣。あとはリリーフ投手陣次第でしょう」

「曲がりの大きいカーブ、ストレート、スライダー、落ちる球を駆使する遠藤のピッチングスタイルは、現楽天の岸に似ている。糸をひくようなストレートの質ではまだ及ばないが、カーブの落差は遜色ない」と三井氏は高く評価した。

遠藤は最近3試合で22歳の坂倉とバッテリーを組んでいたが、この日の女房役は久しぶりに32歳の曾澤だった。徹底的なカーブ攻めは、ベテランならではのリードだったかもしれない。

広島はこの3連戦で、先発に立てた森下、大瀬良、遠藤が好投し、巨人を3タテ。岡本を11打数1安打に封じたのが要因といえる。依然、5位・ヤクルトに0.5ゲーム差、首位・巨人には7ゲーム差の最下位だが、浮上のきっかけになるのか。

三井氏は「3番の西川が打率.321と好調で、1番に定着しつつある長野とともに、4番の鈴木にいい感じでつないでいる。点は取れる布陣になってきた。あとはリリーフ投手陣次第でしょう」とみる。救援陣はこの日も、同点の8回に登板した2番手の塹江が2死一、三塁、1点リードの9回に登場したフランスアも、2死満塁まで追い込まれるヒヤヒヤぶり。ここさえ安定すれば、一昨年までリーグ3連覇を続けていた強いカープが復活しそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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