米軍基地に関係する神奈川県内9市と県で構成していた「県基地関係県市連絡協議会」(県市協、会長・黒岩祐治知事)を巡り、横須賀市が日米地位協定に対する姿勢の違いなどを理由に退会していたことが24日、明らかになった。基地返還以外の理由で自治体が退会した例はないという。自治体間で連携して基地問題の解決に取り組んできただけに、原子力空母を配備する米海軍横須賀基地を抱える同市の退会は県内基地行政に大きな影響を及ぼしそうだ。
県などによると、同市は7月31日付で退会を県に伝えた。県市協の議決や承認は必要ないため、既に退会扱いとなり、近く県市協が国に提出する要望書にも横須賀市の署名はないという。
退会の大きな理由は、日米地位協定を巡る県の姿勢との違い。県市協では例年、改定を要望しているが、同市は改定までは求めず、運用改善で十分との立場だ。「地位協定の枠組みの中で、現場は現実的な対応をしなければならない。例えば今、現場が新型コロナウイルスの対応に懸命に取り組んでいる状況で、地位協定の改定を要望するのはその枠組みを否定するもの」と主張している。
黒岩祐治知事は24日、同市内で取材に応じ、「(退会は)とても残念。われわれは日米地位協定の改定が必要だとずっと思っている。地位協定の問題だけで全て別の道を歩むということではなく、今後も横須賀市と連携していきたい」と語った。
県市協は、米軍基地に関係する自治体が密接に連携し相互に協力して問題解決を図ることを目的に、1964年に結成した。横須賀市が退会したことで現在は県と横浜、相模原、藤沢、逗子、大和、海老名、座間、綾瀬の8市が加盟。国に対する要望活動のほか、担当者による研修など基地対策推進のための調査研究も行っている。