『事故物件 恐い間取り』怖くて面白くて、夏にぴったりのJホラー

(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会

 現在も殺人、自殺などがあった“事故物件”に住み続けている、事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験をまとめたベストセラー「事故物件怪談 恐い間取り」を映画化。番組の企画で事故物件に住むことになってしまう売れない芸人・山野ヤマメを演じるのは、人気俳優の亀梨和也。とってもイケメンの亀梨さんですが、映画の中では見事にそのカリスマ性を消し去ってちょっととぼけた芸人さんを演じています。

 ヤマメを取り巻くキャラクターたちも個性的。ドラマ「あなたの番です」で注目を浴びた奈緒は、しばしばヤマメに協力する霊感の強い女性役を熱演。私は幸いなことにお化けを見たことがないのですが、霊が見える世界ってどんだけ恐ろしいの!と、かわいそうになっちゃうくらいの恐怖演技を見せてくれています。また、相方役の瀬戸康史、事故物件を嬉々として紹介する江口のりこや、絶対にいそうなプロデューサー役の木下ほうかも強烈な存在感を放っています。

 『リング』で日本中を怖がらせた中田秀夫監督だけあって、じわじわとした「何かいる」気持ち悪さや怖さはさすがの一言。とはいえ主人公が芸人さんということもあって、霊能者でもエクソシストでもない彼らが幽霊の登場に震え上がるシーンは怖がりながらもアドレナリンが出た興奮状態でかなり楽しい。子供の頃に入るのが怖くて仕方がなかったお化け屋敷の怖さとワクワクをもう一度感じることができました。何と言っても、実体験に基づいたということが何よりも怖い。心霊現象などは起きなかったものの、家では窓や鏡が怖くてすっかり見れなくなっちゃいました。★★★★☆(森田真帆)

8月28日から全国公開

監督:中田秀夫

出演:亀梨和也、奈緒、瀬戸康史

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