少年の主張

 川棚町立川棚中の石田優真さんには、病気で右半身の自由を失った仲良しのいとこがいる。慣れない左手で箸を使い、車いすを全力でこぐ姿に接して彼は考える。「彼らが自分でできることを奪ってはいけない」。考えが一つ深くなった▲五島市立翁頭中、畑中陽和(ひより)さんのランドセルは今、アフガニスタンにある。現地の子に学用品を贈るボランティア活動。「人の役に立つことで自分も成長できた。これからも成長を続けたい」▲タブレットの画面から中学生たちが生き生きと語り掛けてくる。新型コロナの影響でオンライン開催になった今年の県少年の主張大会から▲佐世保市立相浦中の川崎光貴さんは吃音(きつおん)で言葉が滑らかに出ない。「おはよう」は一日の第一関門、不格好な「ありがとう」がもどかしいと訴えた。一語一語、大切に話す口調が胸に迫った▲対馬市立佐須奈中の安樂智輝(あんらくさとき)さんは磯焼けの原因の一つ、ガンガゼウニの殻を活用したランプの商品化に取り組んだ。「視点を変え、捨てられる物に“光”を当てる大切さを学んだ」。なるほど、ランプだけに…は余計な感想か▲カメラが相手では話しにくそう-は旧世代の杞憂(きゆう)らしく、皆、堂々としていた。こちらは審査の途中に何回かうるっときたのが露呈せず済んだ。リモートの思わぬ効用だった。(智)

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