鎌倉――隠れた名所を巡る旅

鎌倉探訪――古都の静かな楽しみ方

1185年から1333年まで、日本の政治の舞台は鎌倉にありました。今では由緒ある寺社が多く残り、美しい自然があふれる賑やかな街です。

鎌倉は、東京の南、神奈川県の沿岸部にあります。大仏や鶴岡八幡宮などの人気スポットを目当てに、日帰りで訪れる人がほとんどですが、筆者は宿泊して楽しむことをオススメします。鎌倉をはじめ湘南エリアをのんびり散策すると、名所だけではない鎌倉の魅力に気づけるのです。

筆者が初めて鎌倉を訪れたのは、2013年の夏でした。海をはじめとした豊かな自然に囲まれ、伝統的な建築物を巡った体験は、夏の暑さを吹き飛ばすほど素敵な思い出です。ゆっくりと休暇を過ごしたいときは今でも、よく鎌倉を訪れています。

本記事では鎌倉の隠れた名所や豊かな自然、そして混雑を避けながらゆったりと旅を楽しむ方法を紹介します。

1. 江ノ電に乗って観光名所へ

鎌倉を訪れたのなら江ノ電(正式名称:江ノ島電鉄株式会社)への乗車は外せません。大仏や長谷寺、江の島を訪れる人たちが利用する電車です。

路線は鎌倉駅から藤沢駅まで10キロメートル(6マイル)の長さ。海沿いの落ち着いた住宅街や緑の中を走って、内陸部へと向かいます。

時速はおよそ20キロ(12マイル)と、ゆっくり走ります。車窓の風景も、緑色と黄色に彩られた電車の走る様子も、写真に収めたくなりますよ。

車両や駅は明治時代から利用されているものもあるといわれています。レトロな趣きがあり、乗車自体が楽しい体験です。平日に1日乗車券を購入すれば、自由に乗り降りもできますよ。

2. 海辺のカフェでおいしい食事を堪能

美しい砂浜沿いにはいくつものカフェが建ち並んでいます。写真はカフェ「麻心(まごころ)」からの眺め。ここでは麻(※1)の実を取り入れた食事をメインに提供しています。

ほか、野菜や江の島名物のしらす、さまざまな有機食品が使われ、ヴィーガン・ベジタリアンにも対応できる料理やスイーツもあります。おいしい食事を堪能しながら、2Fのカウンター席からの眺望を満喫しましょう。

麻心は、江ノ電の長谷駅から徒歩5分です。海沿いのカフェ探しをするなら、七里ヶ浜駅から長谷駅方面へ歩いて探すとよいでしょう。

3.素晴らしい海の景色が望める成就院

曲がりくねった参道を辿り、丘の上にくると、成就院があります。ここでは大勢の人が写真を撮っているところを見かけるでしょう。由比ヶ浜と湘南地方の風景がここから眺められるのです。

撮影した写真は緑に縁どられ、SNSにあげれば話題になるかもしれませんね。梅雨の時期には参道が紫陽花で彩られます。

撮影した後は静かな境内を散策して、お花と仏像を堪能してください。成就院は1688年からこの地にあると伝えられ、歴史的にも貴重な寺院です。

4. 由比ヶ浜の雰囲気を満喫する

由比ヶ浜はサーファーが集まることで有名な海水浴場。週末には人出が多いものの、平日なら海辺で日光浴や散歩が楽しめます。天気がよければ遠くに富士山を眺めることもできます。

ここを訪れるには、江ノ電由比ヶ浜駅から海を目指して歩いてください。7月から8月までは海水浴、それ以外の時期は静かに散歩が楽しめます。

5. ハイキングコースを歩くなら源氏山公園

鎌倉大仏を目指すなら、源氏山公園からハイキングコースを歩きましょう。周辺には小さな神社もいくつかあります。深い森の中を巡るコースですが、途中で海を眺めることもできますよ。

年間を通して利用できるものの、夏は暑さが厳しいので水分補給と日焼け対策は怠らないようにしてください。春には公園に桜が咲き、また秋には紅葉が楽しめます。

公園までの距離はJR鎌倉駅西口から徒歩25分ほど。急な坂道や歩道が細くなる場所もあるので、歩きやすい靴で明るいうちに訪れてください。

6. 鳥居と狐が目を引く佐助稲荷神社

源氏山公園からすぐの佐助稲荷神社は、あまり知られていない穴場かもしれません。ここは商売繁盛や良縁祈願のため多くの人が訪れる神社です。

神社に入ると、鮮やかな朱色の鳥居と、境内に点在する白い狐の置物が参拝者を出迎えてくれます。言い伝えでは、白狐は五穀を司る神様のお使いで、人々の願いを届けてくれるのだとか。朱色と白、そして神社を包み込む緑が夢のような空間を作っていますよ。

周囲は住宅地なので、マナーは守ってお参りしてくださいね。

7. 良縁を結ぶ葛原岡神社

葛原岡神社もぜひ訪れてほしい神社のひとつ。源氏山公園のハイキングコースを進んだ、静かな街の一角にあります。一年を通して緑に囲まれた場所なので、徒歩での参拝がオススメです。

この神社は、あらゆる面での良縁をもたらしてくれると伝えられています。願い事がある方は、上の写真のように境内にある石の周りに5円玉を巻きつけましょう。

8. 鎌倉随一の商店街、小町通り

小町通りは鎌倉でも有数の観光名所。和を感じる店舗やレストランが集まっています。屋台で食べ歩きスイーツを買ったり、おみやげ屋をのぞいたり、レストランやカフェで一休みもできますよ。

小町通りを訪れたら、“日本の味”を堪能してみてください。上の写真は通りの中ほどにあるごま福堂の豆乳本練り黒ごまソフト(搗いた金ごまをトッピング)です。ヴィーガンでも楽しめるデザートで、暑い日の午後にぴったり。

まめやに寄って、豆類でできたお菓子を購入することも忘れずに。抹茶や青さわさびに加えて、さくら豆といった季節限定の味も楽しめます。店内では試食も可能です(2020年7月時点では、安全のため個包装をしています)。

小町通りはとても人気のスポットなので、混雑を避けるなら平日の訪問がオススメです。また、ほとんどの店舗は18:00までに閉店するのでご注意ください。

人混みを避けて鎌倉を堪能する方法

鎌倉は人気の観光地ではありますが、穴場のスポットも多くあります。落ち着いて鎌倉観光ができる方法を紹介しましょう。

知られざる名所を訪ねよう

鎌倉大仏を鑑賞したり、鶴岡八幡宮の境内を散歩することも楽しいものの、脇道には小さな店舗がいくつもあり、ひっそりと建つ寺院など見るべきものは数多くあります。あまり知られていない場所へ足を運べば、あなただけの発見もでき、人混みも避けられるでしょう。

1人か2人で訪れよう

路地に面した小さくておしゃれな店が多く、カフェやレストランもほとんどがこじんまりとした店構えです。1人もしくは友人と2人で訪れた方が過ごしやすいかもしれません。

1泊または2泊の滞在がオススメ

前述したように、鎌倉や湘南地方に泊まると、その地域の魅力を深く感じることができます。緑の森や青い海、湘南エリアの豊かな自然に囲まれて眼を覚ますと、とても新鮮な気分になるでしょう。宿泊して、地域のゆったりとした雰囲気を感じてください。

Booking.comではいくつもの宿泊施設が登録されています。その中のひとつ、ゲストハウス彩は鎌倉駅近くにあるバリアフリーの施設です。

平日に出かけよう

週末や祝日はやはり、レジャーで訪れる人が多くなります。混雑を避けるには平日がオススメ。江ノ電が乗り放題の1日乗車券「のりおりくん」も購入できます。

時間をかけて鎌倉の知られざる一面を体験しよう

鎌倉や湘南地方のゆっくりしたペースは、訪れる人の心を掴むことでしょう。紹介したスポットを巡ったあとは、藤沢や茅ヶ崎といった海辺の街並みを巡るのもよし、三浦半島に向かうもよし。

慌ただしい日常から少し離れて、鎌倉散歩を楽しんでください。

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