タナク、WRC母国ラウンドの“前哨戦”サウス・エストニアラリーで圧勝

 8月23日、バルト三国のひとつであるエストニアで『サウス・エストニアラリー』が行われ、“地元のスター”オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)が全8SS中7つのステージでトップタイムをマークする圧勝劇を披露した。

 9月4~6日に開催されるWRC世界ラリー選手権第4戦エストニアに先駆けて実施されたこのラリーには、タナクを擁すヒュンダイをはじめ、トヨタ、Mスポーツ・フォードのトップドライバーたちも参戦。新型コロナウイルスの影響で中断されているWRCの再開ラウンドに向けた、実質的なウォームアップラウンドに位置づけられた。

 そんなサウス・エストニアラリーは22日の予定がキャンセルとなったものの、翌23日に計8本のステージでラリーが行われ、タナクが高速グラベル(未舗装路)ラリーでライバルたちを圧倒。最終結果で2位につけたカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)に13.7秒のリードを築いて優勝を飾った。

 これでタナクは先月行われたヴィル・ラリーでの勝利に続き、地元で2連勝をマークすることに。9月上旬に控えるラリー・エストニアでの母国優勝に向けて弾みをつけているが、彼は自分自身とマシンの両方がさらに進歩できることを認めている。

「僕が(ヒュンダイと行ってきた)これまでのラリーの中でもっとも競争の激しいイベントだった」と語ったタナク。

「我々は長い間、クルマの開発に取り組んできたけれど、今はクルマと僕たち自身をよりシャープにするときだ」

 一方、ヒュンダイのチームメイトであるティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)は、この高速グラベルラリーでのペースノートに苦戦。さらにウォーターポンプにトラブルが生じタイムペナルティを受けたことで、トップのタナクから2分20秒近く遅れての5位フィニッシュに甘んじている。

「タフなイベントだった」とはヌービルの弁。「しかし、色々なセッティングを試すことができ、ラリー・エストニアへの良い準備になった」と語った。

カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2020年WRC第3戦メキシコ

 トヨタ勢最上位の2位、SS6ではタナクの全ステージ制覇を阻止するトップタイムを記録したロバンペラは「久しぶりにクルマに戻れて良かった」とコメント。

「すべてのステージでトヨタ勢最速になれなかったのは残念だったけど、結果には満足している。僕はまだ学習している最中だからね」

「ヤリスWRCでのグラベルラリーはまだ2回目だけど、今日は良い進歩があったよ」

 若手フィンランド人に続く3位はチームメイトのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)で、4位にはプライベーター、ヤンプロ・レーシングのフォード・フィエスタWRCをドライブしたエサペッカ・ラッピが入った。

 なお、このラリーではトヨタのエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が大クラッシュを喫した。彼は3番手で迎えた5番目のステージで、6速ギアでの高速走行時にコースアウト。マシンは大きく損傷したものの、クルーは無事だという。

■サウス・エストニアラリー2020 最終結果(トップ10)

Pos. Driver Car Gap

1 O.タナック ヒュンダイi20クーペWRC 48’28.2

2 K.ロバンペラ トヨタ・ヤリスWRC +0’13.7

3 S.オジエ トヨタ・ヤリスWRC +0’29.0

4 E.ラッピ フォード・フィエスタWRC +1’46.8

5 T.ヌービル ヒュンダイi20クーペWRC +2’18.6

6 G.グロス フォード・フィエスタWRC +3’34.7

7 J.フッツネン ヒュンダイi20 R5 +3’38.3

8 N.グリアジン ヒュンダイi20 R5 +3’41.6

9 E.ピエタリネン シュコダ・ファビアR5 +3’49.3

10 O.ベイビー ヒュンダイi20 R5 +3’51.8

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