フジロックが変えた5つのこと

さまざまなトピックを "WHOLE EARTH"や"SDGs" の視点で考える特集プログラム「Whole Earth RADIO」。8月16日(日)と23日(日)の放送では2週にわたって「FUJI ROCK FESTIVAL」を特集しています。

今年はフジロックのない夏・・それならばっ、と運営事務局より石飛 智紹さん(SMASH)をゲストに迎え、さまざまな関係者のコメントを交えながら、フジロックの取り組みが社会を変えた5つのことに目を向けてみました。

まず16日の放送で取り上げた3つの「フジロックが変えたもの」とは

1)アウトドア 〜 自然の楽しみを味わうきっかけを作ったフジロック

"音楽と自然の共生"をコンセプトにしたフジロックの会場では、大自然の中で音楽と衣・食・住を満喫できるのが醍醐味。会場内にはテントが立ち並ぶキャンプサイトがあり、多くの観客がテントを生活のベースとします。大自然はときに厳しいものでトラブルも起こるもの。そんな時の心強いサポーターとして毎年開設される「キャンプよろず相談所」の滝沢守生さんに話を聞きました。

「日本のアウトドアマーケットを大きく変える現象を起こしたのは、まさにフジロックです。フェスというアウトドアアクティヴィティは、それまで存在すらしていませんでした。フジロックがきっかけで若い人たちがアウトドアカルチャーを知り、実際にテントなどのアウトドアグッズを買い、大自然で仲間と過ごす経験を経て、日常でもそのグッズをもって山登りなどのフィールドに出ていった。メーカーもそんな彼らを見て、商品開発を始め出した。それが今に繋がっています。山ガールムーブメントもフジロックがきっかけで起きたものなんです。」

2)ファッション 〜 機能性とファッション性の融合

フジロックとは長年のコラボレーターであるセレクトショップBEAMS 土井地 博さんが考える「フジロックが変えたもの」とは

「アウトドアウェアというのは機能性がもっとも重視されてきましたが、フジロックをきっかけにしてファッションとアウトドアが融合し、この10年で非常にカラフルなアウトドアファッションを楽しめるようになりました。自然を楽しむときだってファッションを楽しめるようになったんです。フジロックのお客さんを見ていると、ファッションを通じて自分らしさを自由に表現しているなと思います。音楽やファッションを通じて人生を楽しんでいるのが滲み出ているんです。会場ではベアルックを楽しむカップルや、親子ペアルックを楽しんでいるファミリーも増えてきています。環境と人に優しくなれる場所。家族や仲間と一緒に楽しむことができる、素晴らしいイベントですよね。」

3)森を大切にする活動 〜 ボードウォークそしてフジロックの森プロジェクト

お客さんに購入してもらった板を1枚1枚繋いで作る、苗場の森を巡る道「ボードウォーク」。02年にプロジェクトがスタートし、今やフジロックの名物であり会場内インフラにもなっていて、なんと全長は1.5kmまでに!過去にはOasisのメンバーひとりづつに板を買って参加してもらったのだとか。このボードウォークの発起人である「フジロックの森プロジェクト」実行委員長 金澤 龍太さんから話を聞きました。

「苗場には自然がたくさんあるので、訪れた方々に自然を楽しんでもらえたら地域の魅力が増すだろうと、町おこしとしてボードウォークをはじめました。今では“フジロックなくして、ボードウォークなし“なんです。自然を愛でるという行為は、何千年も続いてきた人間の文化だと思います。フジロックの会場でも、森や川などの自然を愛でる気持ちを大切にする影響は大きいでしょう」

フジロックは11年から、ボードウォークを中心とした苗場の森の活性化・観光化を目指して、新潟県と湯沢町と町民の方々と共に「フジロックの森プロジェクト」をスタート、苗場周辺の間伐材を利活用した紙”フジロックペーパー”の制作や、割り箸17万膳を制作し開催期間中の会場や周辺で使用してもらう活動を続けています。

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そして2週目となる23日の放送では、さらに2つの「フジロックが変えたもの」をピックアップ。

4)リサイクルを具現化して自分ごとに 〜 ごみゼロナビゲーション

97年第1回のフジロックではごみが問題になり、翌年の東京開催では絶対にごみを散乱させないようにしようとスタートさせた「ごみゼロナビゲーション」。この活動を始めたNPO法人 iPledge 羽仁 カンタさんが考える「フジロックが変えたもの」とは。

「フジロックでみんなが協力しあえる共通の問題はなにかを考えたら、ごみ問題でした。アーティストもスタッフもお客さんも、ごみは誰だって出しますからね。98年からゴミ袋を入場ゲートで配る活動をして、03年からはペットボトルをリサイクルして翌年の会場で配るごみ袋を作る活動をスタートしました。これは非常に手応えがありました。今年捨てた自分のごみが、来年自分が使う何かになる、という具現化がお客さんに伝わったようで、中身をきれいにして捨てるなどペットボトルの捨て方が変わっていきました」

フジロックでは他にも、ハイネケンを飲んだあとのビール紙カップが翌年のトイレットペーパーに資源循環される活動も行っていて、会場内すべてのトイレに掲出されているのだとか。「みんなよろしくね!」という意味を込めて。

ただ、石飛さんによると「フジロックは世界一クリーンなフェスでしたが、最近そうでもなくなっている現状があるので、気を引き締めている」のだそうです。

5)地域共生 〜 地域の人々と一緒になって、地元が誇れるフェスをつくる

当初フジロック開催には反対意見が大勢だった湯沢町・苗場。SMASH代表 日高正博さんは現地に足繁く通い、地域の人々と交流を深めて「地元なくして俺はやらない!」と強く主張し、ようやく開催に漕ぎ着けたという経緯があったそうです。今や地域にとって重要な観光資源となり、地域が誇れるフェスになるまで育んできた、浅貝町内会長 師田 富士男さん、苗場観光協会 師田 輝彦さん、苗場プリンスホテル 清水 利一さん、湯沢町観光産業部長 南雲 剛さん、みなさんの声を集めました。

「冬のスキーがメインの苗場に、夏はフジロックという目玉ができたのは地域にとっては大きいことです。5回目ごろには町内の人々のほうから「こうしたらどうだろう」とアイディアが出始めたりしだしました。今はお客様も主催者も地域もプリンスホテルも、みんなで一致団結している感じがします。越後湯沢駅で新幹線を降りてシャトルバスに乗り込むまで、長い待ち時間を楽しんでもらえるアイディアをJRの駅員さんたちが考えています。来場したお客さんたちから「また今年も来たよ!」と声をかけてもらえたりして、苗場の祭に帰ってきてくれたような感覚があります。お客さんと地域の人々がフラットでいい関係を作れているんです」

なんと開催がない今年も越後湯沢駅ではフジロックグッズがいっぱい飾られて、いつものフジロックの風景になっているのだそう。湯沢町のみなさんの想いを感じるエピソードです。

23日放送分は、radikoのタイムフリーで8/29(土)までお聴きいただけます。

来年は苗場でたくさんのみんなに会えますように!

■FUJI ROCK FESTIVAL'20オフィシャルサイト: https://www.fujirockfestival.com/

Whole Earth RADIO「フジロック在宅講座〜フジロックが変えたもの〜」

放送局:FM COCOLO

放送日時:2020年8月23日 日曜日 6時00分~7時00分

出演者:DJ:野村 雅夫、 ゲスト:石飛 智紹(FUJI ROCK FESTIVAL運営事務局/SMASH)、【コメンテーター|8月16日】キャンプよろず相談所 滝沢 守生、BEAMS 土井地 博、フジロックの森プロジェクト実行委員長 金澤 龍太、【コメンテーター|8月23日】 NPO法人 iPledge 羽仁 カンタ、浅貝町内会長 師田 富士男、苗場観光協会 師田 輝彦、苗場プリンスホテル 清水 利一、湯沢町観光産業部長 南雲 剛

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