「長崎クスノキプロジェクト」始動 福山雅治さんが情報発信

山王神社の被爆クスノキ=長崎市坂本2丁目

 長崎市は25日、被爆樹木を通して広く平和に関心を持ってもらい、被爆の実相の継承につなげる「長崎クスノキプロジェクト」を始めると発表した。専用ウェブサイトで被爆樹木についての動画などを公開するほか、同市出身の歌手でプロジェクトの総合プロデューサー、福山雅治さんがラジオや会員制交流サイト(SNS)で情報を発信する。
 被爆75年に合わせた事業の一環。市は事業費1300万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を、9月1日開会の定例市議会に提案する。議決を経て、9月中にも開始したい考え。
 山王神社(坂本2丁目)の被爆クスノキなど、市は市内30本の被爆樹木を保存対象としている。これらの保存整備を目的に「クスノキ基金」を2018年に設置。7月末時点で約5千万円が県内外から集まっている。基金は福山さんが呼び掛けた募金が母体。
 プロジェクトの財源は基金を充てる。本年度中に市が開設する専用のウェブサイトでは、被爆樹木の紹介動画のほか、市内の被爆樹木の場所や爆心地からの距離などを伝えるマップを公開する。来年度以降も、新たな事業を検討していく。
 市原爆被爆対策部調査課の担当者は「福山さんの影響力に期待している。ファンや若い世代に、被爆樹木のことを広く知ってもらえれば」としている。

© 株式会社長崎新聞社