砂浜に青い〝キノコ〟? ごみ拾い後にニョキニョキ

浜に広がる青いキノコ。「ソーシャルディスタンス」を意識し3メートル空けて植えている=藤沢市の片瀬東浜

 藤沢市の片瀬東浜に今夏、手作りした青色の“キノコ”が並び、輝いている。新型コロナウイルス禍で海水浴場が開設されない中、きれいな海を守ろうと7~8月の間、毎朝砂浜のごみを拾い続けるNPO法人理事長の古澤純一郎さん(44)らが「活動の象徴に」との思いで植えたものだ。古澤さんは「安心して遊べるきれいな海を、多くの人たちと楽しく守りたい。そんな思いがキノコの胞子のように広がれば」とごみ拾いに参加する人の広がりを願う。

 まぶしい日差しが照り付ける朝7時。マスク、ペットボトル、ビニール袋…。古澤さんは、汗をぬぐいながら丁寧にごみを拾っていた。誰もが気軽に参加できるようトングと袋を貸し出し、この日は若者や家族連れら10人ほどが集まった。近所に住む宮本裕子さん(35)は「参加者や通りすがりの人との会話を楽しみながら、地元の海を大事にしたい」と笑う。

 手作りのキノコは「ごみを拾い、きれいな海を守りたい」との思いを込め、日本財団と協力して企画。毎朝、ごみ拾い後に約15本を植えて、夕方に回収している。料理ボウルや木で手作りし、キノコの表面にはごみ拾いへの参加を誘うメッセージも書かれている。

 2005年の海さくら設立以降、片瀬東浜で毎月ごみ拾いを続け、17年からは「ごみを減らそう」と釘を使わない海の家を同財団と建ててきた。今夏の海水浴場では、海の家周辺を清掃し、きれいな海への思いを込め、それぞれがキノコを植える企画を進めていた。

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